馬主に密着取材。4時半起床の日曜日から土曜日まで

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6月6日(水曜日)

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競馬の魅力は華やかさにある。「枠順抽選会」はその伝統の一端を担っている。ただ枠順を決めるだけの名目で豪華な朝食会が催されるのだ。ブライアンは、ジェリー・クロフォードやアームド・ザヤットといった有名人や、デイル・ローマンズとジェイク・ローマンズ親子など競馬界の大物と一緒に時を過ごし、彼らが三冠馬の話に花を咲かせるのを聞いた。「この上なく貴重で楽しい経験だった。一生忘れないだろう」。

デュラハンは有利な5枠を引き当てた。ブライアンからのメールにはこう書かれていた。「デュラハンはきっと勝つ!調子もいいし、優勝できるだけのスキルもある!!!」。

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6月7日(木曜日)

ブライアンはサラトガの家に帰った。翌朝、次女のシャーロットが小学校を卒業するので、それからシャーロットと長女のエリザベスを連れてまたベルモントに戻る予定だ。「やっぱり娘たちと共に過ごして、一緒に旅行するのがいちばんだ」。

6月8日(金曜日)

ベルモントに戻り、終日競馬をして過ごす予定だった。ところが、この日はアイルハブアナザーが出走取り消しになったというニュースでもちきりだった。ブライアンは今やベルモントステークスの出走馬の馬主ではなく、一番人気の馬の馬主となった。

その夜、組合馬主50人でサブウェイ・シリーズのヤンキース対メッツ戦を見に行った(しかし、アイルハブアナザーの馬主たちは最初から試合どころではなかった)。ヤンキースの元選手、ジム・レイリッツが近くまで来て、写真を撮れるようにポーズしてくれた。

6月9日(土曜日)

運命の日。ドゴニールレーシングの馬主やデュラハンの支援者300人と共に声援を送る。ブライアンはシアサッカー地の服を着ている。彼の娘たちはお姫様のような衣装をまとっている。スタートの1時間前、彼はパドックで筆者に「今からもうどきどきしている」と言った。デュラハンのオッズは5/2(3.5倍)と高い人気を維持し、20万ドル以上が賭けられた。ブライアンは、前年のブリーダーズカップのあと、ベルモントの競馬場でデュラハンと一緒に優勝馬表彰区画に立っている夢を見たと話した。正夢になるだろうか?

残念ながら、今回は夢は叶わなかった。デュラハンは集団の中ほどにとどまり、先頭に躍り出ることはなかった。ユニオンラグスが僅差でペインターをおさえてレースを制した。デュラハンは7着に終わった。

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レース後、関係者全員がマンハッタンにあるスミスフィールドというサッカーバーに集まった。ブライアンはフェイスブックにこう投稿した。「デュラハンは今日は勝てなかったけれど、家族や友人たちと過ごした時間はいつもかけがえのない宝物だ」。つまるところ、三冠レース常連のベテラン勢を含めて、ほとんどの馬主はそうした経験のためにお金を払っているのだ。

翻訳・編集=北 綾子/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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