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「グラビティ・ペイメンツ」ダン・プライスCEO(Getty Images)

「自身の年収を93万ドル(約1億円)減額して7万ドル(約740万円)にする代わりに、3万ドル以下(約300万円)ほどだった社員の最低給与を7万ドルに引き上げる」。世間に「気が狂ったか」と思わせるようなこんな施策を5年前に実行した男が、米国シアトルにいる。クレジットカード決済代行会社「グラビティ・ペイメンツ」CEOダン・プライスだ。

直後は、賃金コストが手数料の引き上げにつながることを懸念した顧客が契約を解除するなどの危機にも見舞われたが、BBCによれば4年半後の2020年、会社規模は、処理金額で38億ドル(約4010億円)から100億ドル(約1兆553億円)になったという。

以下、プライスの肉声でその本心を探る。


給与引き上げから3年で顧客8割増


2015年、クレジットカード決済代行会社「グラビティ・ペイメンツ」は、従業員の最低給与を7万ドルに引き上げると発表した。CEOのダン・プライスは数多くの記事に取り上げられ、雑誌の表紙も飾った。

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クレジットカード決済代行会社「グラビティ・ペイメンツ」の社員たち。緑のシャツでガッツポーズをしているのが、CEOのダン・プライス(Getty Images)

とはいえ、その後の道のりは決して平坦ではなかった。訴訟を起こされたり財産整理に迫られたりと、ときに逆風も吹きつけた。それでも給与引き上げから3年で顧客が8割増え、屋台骨は強固になった。それにこの成功を見て、気前のよい報酬が従業員のやる気を引き出し、同時に顧客の満足度を高めることになると考えるビジネスリーダーも増えている。

この斬新なアプローチの動機はなんだったのか。米ベネディクティン大学のテッド・マッキニーのインタビューで、プライスが自らの来歴とともに語ってくれた。


リーダーには日々ともに働く仲間に尽くす責任があるとダン・プライスは語る。Luke Rutan/Gravity Payments

──初めに、ご自身のことについて、生い立ちや、現在のビジネスに行き着いた経緯などを教えてください。

グラビティ・ペイメンツの創業者で、CEOを務めている。事業内容は、自営業者や小企業と消費者との間に立ち、決済にまつわるコストや悩みを軽減すること。顧客開拓はクチコミの紹介が多い。

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アイダホ州(Getty Images)

出身はアイダホ州で、保守的なクリスチャンの家庭で育った。子供の頃から教え込まれたのが、奉仕の精神だった。たとえば、友達と組んだロックバンドは、人々を勇気づけて助けることを目的にしていた。バンド活動をするうちに何人かの企業経営者と知り合いになり、なかでもモキシー・ジャバというコーヒー店のオーナーだったヘザーはとても熱心にサポートしてくれた。バンドが解散したとき、今度は私が助ける番だと思った。

翻訳・編集=門脇弘典/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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