キャリア・教育

2021.02.03 08:00

スタンフォードで人気の「人生デザイン講座」 日本初のワークショップ体験記


幸せを選びとる:意思決定という最後のプロセス


最後にとても重要なのが、進むべき人生プランを「選ぶ」ことだ。「唯一最善の人生」を間違いなく選ぶということではなく、どういうマインドで選ぶかがポイントとなる。

意思決定のプロセスは、次のとおりだ。
1. 情報を集めて選択肢をつくる
2. 多すぎる選択肢を絞る
3. 自分の直感を信じて選びとる
4. その選択が正しかったかどうか悩むのをやめて、次に進む

幸せな人生を送るためには、自分の決断を信じて、とにかく人生を前に進めることが大切だ。果たしてこの道が正しかったのか、と振り返って悩んだりするのはやめたほうがいい。このワークショップで学んだデザイン思考を使って、どんどん人生のプロトタイプをつくり、気楽に失敗して、人生という旅のプロセスそのものを楽しむことが大切なのだ。

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開発者のビル・バーネット氏(左)とデイヴ・エヴァンス氏(右)(c)Creative Live

さて、ここまでワークを通じて、ライフデザインの方法やマインドを学んできた。2日間のワークショップを終えた参加者からは、「ロジカルでありながら、自分の心に正直になれるフレームワークが秀逸だった」「一緒に参加した同僚2人が、人生や仕事に対してとても丁寧に考えていることに感動し、理解が深まった」「最適解を言って尊敬されたいなどの邪魔な感情が入らないぶん、自己開示できたと思う」などの感想が寄せられた。

ワークショップの最後には、数人の起業家や社会学者の言葉が紹介された。人生を謳歌し、成功を収めたとされる彼らの言葉から、幸せを選びとることの大切さが伝わってきて、とても印象的だった。

たとえば、社会学者のダン・ギルバートの「手に入るものを喜んで受け入れるのが大切。欲しいものを手に入れることではなく」という言葉だ。人は、自分が選んだものが「別のものと取り替えられるかも」と考えた瞬間、幸せが目減りしていくそうだ。もう取り替えられないとわかっていても、取り替えておけばよかったと満足度が減ってしまうそうだ。

人生も同じこと。悩むのはやめて人生という旅のプロセスそのものを楽しむという姿勢は、「幸せ」な人生を過ごすために忘れてはいけない。今回その視点を得られたことが大きな収穫だった。

このワークショップは、常にプロトタイプを作り続けるというデザイン思考のポリシー通り、開発者による新しいアイデアが試されたり、変更が加えられたり、常に進化し続けている。開発者自身もこのライフデザインというフレームワークを使い続け、人生プランを描き続けているのだ。

日本で受講できる公式ワークショップの内容も、タイミングによって常に違うものになる可能性が大きいとのこと。人生に行き詰まりを感じたとき、新しい冒険をしたいとき、このワークショップを体験してみると、違う景色が広がるかもしれない。

文・写真=松崎美和子

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