そんな人生の「行き詰まり」から抜け出したいと思ったとき、助けになるのが、「ライフデザイン」という考え方だ。これは、デザイン思考のアプローチを用いて人生の問題点を明らかにし、課題解決を行う方法で、米スタンフォード大学で教鞭をとるビル・バーネット氏とデイヴ・エヴァンス氏が考案。2013年にワークショップ形式の「人生デザイン講座」を開始すると、同大の学生のうち24%以上、のべ1万5000人以上が受講した大人気の講座となった。
この演習を、学生だけでなく一般の社会人にも有用にアレンジしたのが、バーネット氏とエヴァンス氏が代表を務める「Designing Your Life(デザイン・ユア・ライフ)公式ワークショップ」だ。日本でも受けられるようになったこのワークショップでは、いったいどんな体験ができるのか。
今回は、Forbes JAPANで行われた実際のワークショップの様子を、書籍「スタンフォード式 人生デザイン講座」(早川書房)も参考にしながら、レポートしていく。
認定講師の武井涼子氏
プログラムは半日×2日間にわたって行われ、Forbes JAPANから3人が参加した(ワークを行うには3人の倍数が望ましい)。今回のモデレーターは、開発者の審査を受けた認定講師である武井涼子氏。マーケターとして活躍する一方で、オペラ歌手としても活動する彼女は、自分のキャリアをどのように構築すればいいかと悩んでいたときに、このプログラムと出合ったという。
「デザイン思考とは、進むべき道を自分でつくっていくこと。このプログラムはスタンフォード大学でオーソライズされたアカデミックなものであり、非常に論理的なのが魅力です」
では、どのような手順を踏めば、「進むべき道」が設計できるのだろうか。いくつかのワークを通して、思考を進めていこう。
現在地を知る:今の自分を客観的にとらえる
まずは、今の自分について正しく認識することからスタート。最初のワークは、人生を「4つの分野」に分けて考え、そのバランスがどうなっているかを知ることだ。
4つの分野とは、1. 健康(Health)2. 仕事(Work)3. 遊び(Play)4. 愛(Love)のこと。
よくワークライフバランスが大切だと言われるが、ここでは4つの要素が、現時点の自分の人生のなかでどんなバランスになっているのかを1人ずつシートに記入していく。
人生の4つの分野のバランスをシートに記入していく
数値化してみると、バランスは一目瞭然だ。参加者からは、「思っていたよりも仕事ばっかり」「健康と愛のための活動をほとんどしていないことがショックだった」などの意外な発見が報告された。