このサービスで出た不要品については、単に処分されるのではなく、地域企業や協力会社と連携し、補修やアップサイクルがなされた後、リユース活動に用いられるというので、環境にも優しい。
部屋が片付いたら、「インテリアの相談」を利用してもいいかもしれない。ライフスタイルや間取りに合わせて、家具やカーテン、部屋の照明についてもアドバイスが受けられる。東京有明店には、全国の無印良品から選りすぐりのインテリアアドバイザーが集結しており、店頭やオンラインまたは出張で相談できる体制が整えられている。
地域コミュニティへの貢献
無印良品の「空間」の提案には、住みよい街づくりも含まれる。東京有明店がある江東区は、環境に関する取り組みに積極的なことでも知られているが、今回の出店にあたり、行政と協力したリサイクル事業もスタートさせた。
「古着の回収」はその一つで、家庭で不要になった衣類・布製品のうち再利用できるものを集める回収BOXが設置された。回収された古着は江東区の業務委託業者のリユース・リサイクルルートによって、国内外で再利用される。
ファッション業界では近年、自社商品の回収を受け付けるブランドや企業が増えており、無印良品も以前から受けつけていたが、東京有明店ではその対象が全ての古着へと広がった。家庭内の不要な衣類を、買い物のついでに持参すれば、リサイクルされた糸で編まれた限定の軍手と交換してもらえるサービスもある。
リサイクルされた糸で編まれた軍手と古着を交換してもらえる
さらに店頭には、余ってしまった食べ物を回収する「フードドライブ」も設置されている。フードドライブとは、家庭で余った食品を持ち寄り、福祉団体などに提供する活動のことで、近年は食品ロス削減の取り組みとしても注目されている。東京有明店のフードドライブは、賞味期限まで2カ月以上の食品であれば店舗で回収し、江東区が連携しているフードバンク団体などを通じて、食事に不自由している方々へと届けられる。
江東区とリサイクル事業の協力協定を結んだ経緯について、副店長の秋吉武士は「コロナ禍で江東区でも人が集まるイベントの多くは中止となり、不用な食品や古着の回収業務が今までのようにできなくなっていました。そこで『ぜひ東京有明店に回収スペースを設けませんか』と江東区に話を持ちかけて、今回の協力が決まりました」と明かす。
2045年にかけて人口の増加が期待される有明地域で、住民の生活に密着した店舗運営を目指す東京有明店であるが、金井会長は「今後、人口の多い政令指定都市などに東京有明店のような店を作り、地域の人々の暮らしに結びついたコミュニティーセンターのようにしていきたい」と話す。東京有明店は、無印良品の新たなモデル店となる予定だ。