学部卒で最も高給な専攻は? 米大の最新データ公表

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米教育省が国内の大学の学費や卒業率、卒業後の収入などをまとめた「カレッジ・スコアカード」の最新版を公表した。大幅な更新は今回が2回目で、専攻や大学別に卒業後2年後までの卒業生の年収水準を大まかに知ることができる。

最新データからは、所得に関してはたいていの場合、大学よりも専攻の選択がはるかに重要だということが裏づけられている。専攻によっては、2年制のコミュニティー・カレッジの卒業者でも、一般的な4年制大学の卒業者より稼いでいる人もいるようだ。

具体的に見てみよう。学士の卒業後2年の年収は中央値でおよそ3万8000ドル(約400万円)となっている。ただ、大学の学部を卒業すればこのくらいの年収が保障されるというふうには受け取らないほうがよいだろう。年収の中央値が6万ドル超を超える学士課程が6分の1ほどある一方で、3万ドルに届かない課程も5分の1あるからだ。

4年制大学では、2割の学生がビジネスや金融関係を専攻している。彼らは年収分布の中央部に位置しており、年収の中央値が4万5000〜6万ドルの学士課程の半分超はビジネス関係のコースが占めている。

こうした課程は概してかなり高い所得を生み出している半面、大半の大学では上限もあるようだ。学部生向けビジネス課程でキャリア最初期の年収が9万ドルを超えている大学は、ペンシルベニア大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など一部のエリート校に限られる。

一方で、大学名が収入を制約しない分野もある。年収が6万ドル超の学士課程は、コンピューターサイエンス、工学、看護学の3分野に集中しており、これらの分野では所得のトップスクールは必ずしもアイヴィーリーグの名門ではない。

たとえば、カリフォルニア州立大学フラトン校で看護学を専攻する学部生は、卒業後2年の年収として8万6000ドルを期待できる。アリゾナ州にある営利目的のフェニックス大学で看護学を専攻した学生も、年収の中央値は8万8000ドルに達する。

収入分布で下のほうを独占している一つの専攻というものはないが、教育学や法律執行など、公的部門の仕事にかかわる分野の専攻者は比較的収入が低い。そうした分野では給与が労働組合の交渉に基づく年功制になっているため、新規採用者の給与が低く抑えられているのが主な理由と考えられる。

ほかにも収入が低い専攻はあるが、その理由の説明は容易ではない。視覚芸術・舞台芸術の専攻者は、学部卒業者全体の5%にすぎないが、年収中央値が3万ドル未満の課程の17%を占めている。

また、心理学や生物学といった人気の専攻も、収入分布の底辺あたりによく表れている。これは、こうした分野では労働市場での需要以上の大卒生が生み出されていることを示唆するものだ。

最新のデータからは、むしろ2年制大学の学位のほうが、普通の4年制大学の学位よりも高い収入をもたらしている例も多いことがわかる。2年制大学の卒業生のおよそ3割は年収が基本的に4万ドルを超える課程で学んでおり、そうした課程もやはり大半は医療・保健関係となっている。

編集=江戸伸禎

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