読書量と読解力は比例しない 「ハーバード流」読み聞かせ

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読解力を高める“読み聞かせ”の方法とは


「読解力」に必要なことは、文字情報を追いかけながら、並行していろいろなことを考える力です。

主人公はどんな心情なのか? どんな因果でこのような話の展開になったのか? 物語が終わったあと主人公はどうなったのか?

文章では直接書かれていないことを読み解くためには、分析力や論理的思考力、想像力などを駆使しないといけません。

そして、このような「読解力」は絵本の読み聞かせをするときに親が子どもに質問を投げかけることで、確実に伸ばすことができるのです。

「自分の子どもには将来、本好きになってほしい。だから絵本をたくさん読んであげる」という親の思いは、まったく間違っていません。素晴らしい心がけです。

しかし、読書習慣で本当に大事なのは「量」ではなく「質」。「どれだけ読むか」ではなく「どう本を読むか(=本の読み方)」です。

この、「読解力(文章の内容を深く理解する力)」のみならず、「自分で考える力(思考力)」「自分の意見を言う力(伝える力)」など、社会を生き抜くために必要なさまざまな能力を育むことができるのが、アメリカ生まれの絵本読み聞かせメソッド「ダイアロジック・リーディング(Dialogic Reading)」です。

日本とは異なり、アメリカでは、読み聞かせの際に子どもたちは黙って聞くのではなく、活発に発言して保護者や保育者と対話します。

読み聞かせする側も、ただストーリーを追うのではなく、多くの問いかけを子どもに投げかけます。こうすることで、「本の読み方」を教えることができるほか、「考える力」「伝える力」を養うことができるのです。

逆に言えば、「共働きで忙しいから、大量の本を読んであげることができない」と悩んでいる方も、「ダイアロジック・リーディング」で、読み聞かせの「質」を上げることで、子どものさまざまな能力を伸ばすことができるというわけです。

ダイアロジック・リーディングの5つのメリット


日本式とアメリカ式の読み聞かせを比較しましたが、一点誤解しないでいただきたいのは、日本式の読み聞かせは、アメリカ式の読み聞かせと比べて劣っているわけではない、ということです。

子どもが静かに読み聞かせに耳を傾けて、物語に没入すること。親子で親密な時間を共有することで、精神的なつながりを深めること。これも大切なことです。

ただ、子どもの「思考力」と「伝える力」「読解力」を育むという点においては、まさにそれを目的として行われているアメリカ式の読み聞かせから学ぶべき点があります。

アメリカでは、1970年代から、絵本を読み聞かせる場面で、親子がどのようなやりとりをしているかの研究が進められています。ただ読む、聞くというだけでなく、それ以外のことばをやりとりすることがさまざまな効果を持つことが検証されてきたのです。
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『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)より

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