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Photo by Noam Galai/WireImage

ここ数年、冬の寒い時期にアウトドアに出かけた経験がある人ならほぼ必ず知っていて、目にしたこともある、特別なジャケットがある。たとえ自分が持っていなくても、すぐにピンと来るはずだ。

このジャケットは、見るからにヘビーデューティーで実用本位。そして、さりげないが一目でわかる赤と白とブルーのワッペンが、着ている人に成り代わってこう語る。「わあ、はるばるやってきたけど、ほんとに寒いね!」と。

ここまで話してきたのは、もちろん、カナダグースのダウンジャケットのことだ。見た目こそシンプルだが、その価格は、倹約家の買い物客なら尻込みしてしまうほど高い。だが、その高額な価格設定をものともしないファンたちのおかげで、カナダグースは、この「パンデミックの冬」に勝ち組入りを果たしそうだ。その理由としては、製品の多様化をはじめとするいくつかのポイントがあげられる。

だが、その理由を探る前に、このブランドの歴史を手短に振り返ろう。つまりこのダウンジャケットが、「ウェリーズ」の愛称で知られるハンターのレインブーツや、L.L.Beanのビーンブーツ(通称ダックブーツ)などと同様に、超一流セレブ御用達のアイテムとなるずっと前の話だ。

創業者のサム・ティック(Sam Tick)がカナダグースの前身となった企業を設立したのは1957年。当初は、ウールのベストやレインコート、スノーモービル用のウェアなどを作っていた。

転機は2001年に訪れた。サム・ティックの孫にあたるダニー・リースがこの年、最高経営責任者(CEO)に就任したことをきっかけに、カナダグースは世界的な高級ブランドへと登りつめていった。人気が高まった一面で、高価すぎるというイメージも生じたとはいえ、何かにつけて話題になるブランドになったことは間違いない。

さらに時計の針を2016年、同社の「特別なジャケット」を至るところで見かけるようになった時期に進めてみよう。それまでのあいだ、カナダグースがオープンさせた実店舗はニューヨークとトロントの旗艦店だけだったが、これも、同ブランドの戦略からすれば驚くことではない。

そして2020年。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界を襲い、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)が叫ばれるようになった。

ソーシャル・ディスタンシングがニューノーマルになる前から、カナダグースは、ダウンジャケット以外の多様な商品のラインアップを用意していた。それでも、看板商品であるオールパーパス・タイプのジャケットが圧倒的知名度を誇る状況に変わりはなかった。しかし2020年に入って、その状況は一変した。

人々の関心が、屋外でのレジャーやソーシャル・ディスタンシングに向くようになったところに、ちょうど気温が下がる秋の到来も手伝って、ライトなアウトドア向けアイテムやアウターウェアが、「パンプキン・スパイス・ラテ」と言う間もないほど瞬時に、脚光を浴びることになった。そして、カナダグースもまた、そうした風潮のなかで注目を集めている。

ボンバージャケットやレインコートといった、カナダグースの「ダウンジャケット以外の商品」が、消費者のワードローブの隙間を埋めるとしたら、今こそが完璧なタイミングかもしれない。この機会を活かせば、カナダグースは、氷点下の環境で目立つ高価なジャケットというイメージを払拭し、あらゆる季節に対応した高級アウトドア・アイテムを販売する企業へと脱皮できるはずだ。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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