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ダニー・リース(Photo by Craig Barritt/Getty Images for Canada Goose)

ほぼ唯一無二と言えるようなカナダブランドを、祖父から引き継ぎ育てたのがカナダグースのダニー・リース氏。弱点を個性に変えた慧眼は、次に何を見るのか。


カナダグースといえばダウンジャケットのイメージが強いが、実はオールシーズンに対応したトータルブランドで、高品質なニット類も評価が高い。カナダ初のラグジュアリーブランドでありながら、北国で磨かれた本格的な機能性が魅力のブランドを若い感性で育ててきたのがダニー・リース氏だ。
 
祖父が始めた会社にリース氏が入社したのは1997年のこと。それまでは、極寒の中で活動する人のための防寒ギアとしてのアウターに特化した、知る人ぞ知る存在だったという。ヨーロッパのトレードショーなどに参加するうちに、本物志向の潜在顧客層が想像以上に多いことを知り、可能性を見いだしたという。
 
カナダグースは、その名のとおりカナダで製造することにこだわっており、材料費や賃金は否が応でも高くなってしまう。しかし、それを理解してくれるヨーロッパや日本などの本物を求める消費者層に向けて打ち出したのが、功を奏したのだ。

「Made in Canada」にまつわる氏の話でもう一点興味深いのは、カナダ人には「Made in USA」へのコンプレックスが伝統的にあったということだ。だからこそ、「Made in Canada」のクラフツマンシップを世界に伝えるということも、自らに課せられたミッションとして捉えている。
 
アイテム数も当初は20種類程度だったのが、今では200種類に及ぶラインアップを誇る。ダウンだけでなくニットも自社開発しているほか、レインウェアや小物類も拡充を進めて、冬以外のシーズンもカバーするブランドとして成長している。また、最近では「バフィン」という極寒の地で活躍する人のためのフットウェア製造会社を買収している。「バフィン独自のこれまでのラインをキープしつつ、オペレーションを手伝うことを通じて彼らの培ってきた技術やノウハウを学び、いずれカナダグースでもオリジナルのフットウェアを展開したいと考えています」
 
それでも氏は、現状をまだ成長の入り口として捉えている。「成長というのは経済面だけではありません。どうやってグローバルレベルでインパクトを強めていけるか、そして本物志向のクラフツマンシップとオーセンティックなカルチャーをどう広げていけるか、そういった課題は次なるステップに向けたビジョンの中にあります」
 
リース氏は大の日本贔屓で、富士山にも登ったと語ってくれた。ブランドが日本に上陸して15年以上経つが、年々成長の手応えを確かに感じているという。「日本初となる千駄ヶ谷のフラッグショップも大成功を収めました。今後さらにフラッグシップを増やしていきたいですね」


ダニー・リース◎カナダグース代表取締役社長兼CEO。祖父が始めたアウトドアウェアブランドをラグジュアリーパフォーマンスブランドに成長させた。2008年、EY社起業家アンダー40のトップ40に選定。11年、カナダのアントレプレナー・オブ・ザ・イヤーを受章。16年、カナダ勲章受賞。

文=安住紀宏 編集=大野重和

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