この施設のコンセプトは、シンプルそのものだ。製品が本来の役割を果たすべき環境で、実際にその性能を顧客に体験してもらうことを目的としている。カナダグースは1957年の創業以来、過酷な気象条件下で生き残るためのウェアを提供してきた。
同社によれば、この施設は顧客に「没入型」の体験を提供するもの。南極や北極に行ったことがなく現地の気候を想像できない大半の消費者も、極地の環境を実際に体感することができる。
また、コールドルームの中では、ジャケットの暖かさをランク付けするために同社が開発した尺度の「温度体感指数(TEI)」も実感することができる。極寒の地に適しているのは、等級が「5」のジャケットだ。
カナダグースのダニー・リース社長兼最高経営責任者(CEO)はこの施設について、「…顧客に実際に製品を試してもらう機会を提供するものだ。当社ブランドの基本は“機能する本物の製品”であり、これはそのコンセプトの自然な延長線上にある」と説明している。
TEIはこれまで、理論上の概念であり、実際に理解することは難しい単なるタグに書かれた数字だった。だが、コールドルームに入ればその数字の意味を実感することができる。室内の温度を自分で変えたり、「風速冷却」のスイッチを入れ、実際に起きる天候の変化を再現したりすることが可能だ。
リースによれば、室内の温度はカナダ・マニトバ州チャーチルの春の平均気温を参考に設定されており、およそ-18℃から-25℃の間で調節できる。カナダグースは10年以上前からホッキョクグマとその生息地の保護活動を行う非営利組織(NPO)、ポーラーベアーズ・インターナショナル(PBI)を支援しており、そのPBIが拠点を置くのがチャーチルだ。