オハイオ州シンシナティに拠点を置くオロス(Oros)の創業者、マイケル・マークスベリーとリトビク・ベンナにとって、これは歓迎すべきニュースだ。
デジタルネイティブ世代のアパレル・メーカー、オロスは米航空宇宙局(NASA)の技術からアイデアを得たパフォーマンスウェアとアウターウェアを開発している。同社の技術は、羽毛のほかシンサレート(高機能中綿素材)その他の断熱性がある合成繊維を“陳腐化”させるものだ。
最も厳しい試験に耐えた素材から誕生
オロスはNASAが開発した断熱材「エアロゲル」を基に生み出した「ソーラーコア(Solarcore)」について、幾つかの特許を出願している。創業者の2人はその革新的な技術によって今年、20の業界で活躍する有望な30歳未満の30組を選ぶフォーブスの「30アンダー30」にも名前が挙げられた。
マークスベリーは、オハイオ州にあるマイアミ大学在学中に宇宙飛行士奨学金基金から奨学金を獲得。それをきっかけに、エアロゲルについて知ることになった。マークスベリーによれば、NASAはスペースシャトルや火星探査機、宇宙で使用するその他のものにエアロゲルを使用している。
「宇宙は摂氏マイナス2545度の世界だ。この断熱材は、宇宙で最も厳しい耐久テストに合格している。ただ、衣料品にはまだ使われていない」
「われわれはエアロゲルから取り出した小さな粒子を繊維に組み込み、合成素材を作る方法を発見した。生地の厚みを最小限に抑え、97%の保温率を実現することができた」
ソーラーコアは主に次の3つの点で、断熱性のあるその他の素材より優れている。
・ 試験で高評価─国際標準化・規格設定機関ASTMインターナショナルの基準に従って行ったテストで、250種類のその他の素材より優れた結果を得た
・ 薄い─その他の素材は空気をためることで保温するため、“ミシュランマン”のようになる
・ 通気性が高い─ダウンプルーフ加工を施したような高密度の生地を必要としない