2020年4~6月にパナソニックが実施した「With COVID-19 Before/After 価値観定点調査」(※)でも、30・40代においてコロナ禍で増えた時間1位は「家事」という調査結果が出ており、通勤時間が減ってもその分家事をやってしまう悪循環に陥っている人が少なくないようだ。
垣間見える、生活様式の変化
・生活様式が大きく変わったコロナ禍
2020年1月、国内で初の新型コロナウイルス感染者が確認された。その後、3月からは小中高一斉臨時休校、4月7日には緊急事態宣言が発令されるなど、これまで「当たり前」だった生活様式はガラリと変わった。5月25日には緊急事態宣言が解除されたものの、今後の大規模な感染を危惧し、現在でも在宅勤務が続く会社・人は少なくない。
パナソニックではCLUB Panasonic会員を対象に「With COVID-19 Before/After 価値観定点調査」を実施し、コロナ前(緊急事態宣言発令前)からコロナ後(緊急事態宣言解除後)では、ライフスタイルや価値観がどのように変化したのか調査した。
・Withコロナ生活に浮かび上がる、「9つの事象」と「5つの価値観」
「With COVID-19 Before/After 価値観定点調査」の調査結果からは、生活様式(右図)と価値観(下図)が変わりつつあることが明らかになった。生活様式の9つの変化は、外出自粛やそれに伴う在宅時間の長さ、そして未知の敵への不安から生まれたものと考えられる。さらにこれらの事象は人々の価値観に変化をもたらし、「新たな日常」への転換を後押ししているようだ。
・Withコロナ社会で高まる、家事解放への気運
「時間」・「お金」・「行動」の分析から、12の新たな日常の兆しが見えてきた。コロナ禍では、従来からある家事に加え「よりこまめな換気・消毒」、「清潔・除菌対策」といった新たな家事が増え、「With COVID-19 Before/After 価値観定点調査」においても、コロナ前後では40代以下において家事の時間が増加し、子育て世代ほど家事負担が増えていることがうかがえる。
一つひとつが小さな行為だとしても積み重なることで大きな負担になってしまうことから、これまでの家事も含め「家族間の家事シェア」や「家電への家事シェア」を推し進め、一人あたりの家事負担を軽くしたいと考える人も増加するかもしれない。
パナソニックでは、家事の総量増加とそれに伴う家事解放への気運について「家事に関するライフスタイル調査第4弾」を実施し検証を重ねた。その結果、「家事負担は男女ともに増えており、“しない家事”化を進めたい」という現実が浮かび上がってきた。次ページからは、これらの調査結果について紐解いていく。
コロナ禍での「家事負担」と「家事分担」 男女の差は埋まらず
・家事にかけている労力・負担は、男女ともに増加傾向
コロナ前とコロナ中では、男女とも家事負担が増加した。在宅時間が増えたことで、ついつい家事をやってしまう、やらざるを得ない人が増えたのではないかと推測される。また、30~40代の共働き世帯では「コロナ前と比べコロナ後は家事負荷が増加した」と回答した女性が男性を上回っており、とくに平日は3割近くの女性が負担増を感じていた。
・共働き夫婦の家事分担比率は大きな変化なし
コロナ前とコロナ中の家事分担比率では、大きな変化が見られなかった。しかし、男性視点では「男女でほぼ半々」に分担していると感じている反面、女性視点では「23.9%:76.1%」となっており、夫婦が平等に家事分担するのはまだまだ難しいようだ。
・在宅勤務によって、家事の量が増えたと感じる人の割合は女性の方が多い
自宅で仕事をすると、かえって家事の総量が増えると感じた人は、共働き女性の半数に上る。しかし男性は36.6%にとどまっており、このあたりの差が前述の「家事分担比率の男女の意識差」につながっているとも考えられる。