ニュースから見る“保険”の風

Kathrin Ziegler/Getty Images

コロナ禍で急速に社会に浸透しているものと言えば、「テレワーク」だろう。

「家族と過ごす時間が増えた」「育児や介護のワークライフバランスが取りやすくなった」「Web会議にすることで無駄話が減って効率が上がった」といった従業員側はもちろん、「交通費やオフィスの維持費(光熱費等も含む)が減った」「資料のデジタル化が進んで、会社負担の印刷費が減った」など、経営者側にもメリットが多いようだ。

その一方で、心配なのがセキュリティ面だ。オフィスでは厳重に守られていたのに、急ごしらえの在宅勤務やテレワーク体制の下では、重大な情報に対するセキュリティが“ザル”になっていないかが気がかりだ。

たとえば、ネットワーク回線は、家庭の無線LANや公共の無料WiFiで本当に大丈夫なのだろうか。オフィスでは当然だった暗号化などのセキュリティ対策は、甘くなっていないだろうか。会社提供の機器で対応するにしても、持ち運び中に盗難に遭ったり、自宅で使用中に壊れてしまったりしないだろうか。

本来、テレワークや在宅勤務の促進は、経営戦略の中でソフト&ハードの設備投資も含め、数年をかけて慎重に取り組んでいくべきものだったはずだ。だが、コロナ禍に対応するかたちで、やむなく導入した企業も多いのではないだろうか。その結果として、サイバー攻撃などのむき出しのリスクにさらされているかもしれない。

取引先や提携先における最近のセキュリティ状況を見ると、そんな不安が日々沸き起こっている。

サイバー攻撃の標的は大企業とは限らない


「テレワーク」という言葉は、ICT(情報通信技術)を利用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことだ。会社に出社せず、自宅などで働く「在宅勤務」のほか、営業活動などで外出中に働く「モバイルワーク」、そして、勤務先以外のオフィススペースを活用して働く「サテライトオフィス勤務」などがある。

総務省の調査によると、2019年のテレワークの導入率は約20%で、その中身は「モバイルワーク」63.2%、「在宅勤務」50.4%、「サテライトオフィス勤務」16.4%で、トレンドしては年々上昇の過程にある。

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総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」より作成

東京都が実施した「テレワーク導入率緊急調査結果」を見ても、2020年3月実施の調査では、テレワークを導入していると回答した企業は約2割だった。しかし、同年4月に実施した調査では、一気に約6割まで上昇。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、テレワークの導入は明らかに加速している。

そんななかで気になるのがセキュリティだが、いま約7社に1社がサイバー攻撃を経験しているという(日本損害保険協会「サイバー保険に関する調査2018」)。2018年12月5日~2019年1月11日に日本国内の企業1113社を対象に行った調査で、14.1%がサイバーセキュリティに関する事故が発生したと回答した。

文・図=竹下さくら

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