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遠出や人混みを避けて、家でゆっくり過ごす──。このコロナ禍で働き方だけでなく、休みの過ごし方が変わった人も多いのではないだろうか。

これまで片手間だった家事の面白さに気づいた人もいるだろう。なかでも「掃除」は、モノを整理したり、ホコリを払うだけでなく、心がととのう効果もあるという。

長野県で丁寧な暮らしを実践するミニマリストの増村江利子さんに、休みの日に実践したい家事との向き合い方について語ってもらった。




毎朝欠かさず掃除をすること


コロナ禍で在宅時間が増え“日常”に目線が向いている今、家具や家電を新調したり、観葉植物をあらたに置いてみるなど、インテリアを見直したりアップデートする人が増えているのではないだろうか。そして在宅時間が長ければ当然、家事の時間も増えるはずだ。

そもそも私は、家事という言葉が好きではない。「家のこと」はすごく大切なはずのに、家事という二文字で簡単に片付けられてしまうような、重みのない言葉に思えるからだ。

家事は、誰も教えてくれないものだと思う。教育過程で「家庭科」はあるものの、家事の実際のところは、365日、その先もずっと続いていくものであって、やってみないと実感としてわからないのだ。そして続けていくうちに、何かしら自分が大切にしたいことが見えてくる。

私が大切にしたいことの一つは、毎朝欠かさずに掃除をすることだ。埃がないように見えても、家族が起きないうちに、愛用している棕櫚(しゅろ)の箒(ほうき)で床の掃除をする。いつもの長柄箒でなければ気分が乗らないし、自分以外の誰かがリビングにいるとなぜか落ち着かない。だから、掃除をするのは決まって早朝のひとりの時間だ。掃除が終わると、どこかほっとする。掃除は私にとって、一日の始まりの儀式のようなものなのかもしれない。


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何か心配ごとや迷っていることがあるとしても、とにかく身支度をしたらまず掃除をして、掃除が終われば気持ちがすっきりとする。掃除をすることが、心をすっきりと保つことにもなっているのだと思う。

お寺の修行僧や、柔道や剣道、茶道や華道といった「道」のつく武術やお稽古では、始まりと終わりに掃除をすると聞くが、それは、このことからきているのではないだろうか。

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ただ、掃除機でも同じことができるかというと、それは難しいような気がする。自分が掃除機を動かしている姿を連想してみると、すっきりと整っていく大切なプロセスごと、あの音にかき消されてしまうように思うのだ。“効率化”が機能に凝縮された掃除機を使うなら、それはいわゆる「家事」だと思う。

そして、掃除によって心身は「整う」というよりも、「調う」というほうが正しいのかもしれない。ピアノの音程を整えるのに「調律」という言葉があるように。

もし長期の休みが取れるのであれば、掃除がしにくい場所を雑巾で水拭きすることもおすすめしたい。

掃除という家事を変えてみたいなら、そして家事で自分自身を整えてみたいなら、試しに箒や雑巾を使ってみてはどうだろうか。

文=増村 江利子

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