経済・社会

2020.06.02 16:30

香港の自由を抑え込もうとする中国 国家安全法制定に世界が「待った」



ポンペイオ国務長官は、国家安全法を香港の自由に「死を告げる鐘」と表現し、香港の自治は失われたと指摘しており、アメリカの中国に対する強硬姿勢が見られる対応となった。この米政府の対応を受け、中国外務省は6月1日の記者会見で「中国内政への深刻な干渉であり、中米関係を損なう。断固反対する」と反発し、対立は避けられない。

4カ国共同声明や200人以上の署名も


今回のデモに対して、日本政府は抗議の意思を示さずに「深く憂慮する」との見解を示すに留めた。しかし、日本と比べて激しい反発を示したのは、アメリカだけではない。

全人代で法案が採択された28日、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスの4カ国は共同声明を発表し、法案が「自由の砦として繁栄してきた」香港の自由を脅かすものだと避難した。また、世界的パンデミックの最中での採択は各国政府や国際協力に対する信頼を損なうもの危険性があるとも主張した。

状況を改善するには「香港の人々が約束された権利と自由を享受できるようにし、香港社会全体からの信頼を回復すること」が唯一の方法とし、中国政府に対して香港の人々と和解点を見つけるよう求めている。

香港デモ、民主主義
激化する香港デモ(Getty Images)

中国へ抗議の意思を示しているのは、政府だけではない。アメリカ連邦議会の議員17名やイギリス下院議員44名を含む、23カ国の政治家200人以上が共同書簡を発表した。草案を書いたのは、イギリス植民地時代の最後の香港総督であるクリストファー・パッテン卿とマルコム・リフキンド元英首相で、主に香港返還時に結んだ中英共同宣言に違反しているという内容のものだ。


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文=田中舞子

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