ノートPCの代わりに使う人のためのプレミアムキーボード
Magic Keyboardは新しいiPad Proと、2018年に発売されたiPad Proにも対応する本体カバーを兼ねたモバイルキーボードだ。12.9インチと11インチのiPad Pro、それぞれのサイズに最適化されている。
iPad Pro専用のキーボードアクセサリーと言えば、2018年に発表された「Smart Keyboard Folio」も継続販売中だ。アップルはなぜiPad Proのために種類の違うふたつのキーボードアクセサリーをラインナップに揃えたのだろうか。
iPadは誕生以来、iPhoneよりも大きな画面で動画やゲームを楽しんだり、アプリによるユーティリティツールをインストールして、様々な用途に活用できるタブレットとしてユーザーを増やしてきた。
2015年に初代のiPad Proと一緒に専用のスタイラスペンであるApple Pencilが発売されたことで、指先による操作よりも精度の高いペン入力ができるようになった。以来、本格的にイラストを描いたり、建築図面や3Dモデリングの描画など高度なクリエイティブワークにもiPad Proを使うユーザーが広がった。
iPadのラインナップの中では現在、最小サイズのiPad miniを除くすべてのモデルでアップル純正のキーボードが使える。特に2019年の10月に発売された、3万円台から購入できる第7世代のiPadにもアップル純正の「Smart Keyboard」が対応して以来、iPadをモバイルノートPCの代わりに選ぶユーザーが増えている。この傾向は国内の市場調査レポートも伝えている。
キーボードアクセサリーの好調を受けて、iPadシリーズのフラグシップモデルであるiPad Proのためにプレミアムグレードのキーボードが商品化されたことは順当な出来事である、と筆者は捉えている。
MacBookにも広がるアップル独自設計のMagic Keyboard
商品の名前であるMagic Keyboardは、アップルがデスクトップPCのiMacのアクセサリーとして発売しているBluetoothワイヤレスキーボードから受け継いだものだ。シザー構造のメカニズムを採用したことで、正確かつ安定したキーストロークを実現している。長時間のキータイピングを続けても疲れにくく、静かなキー操作ができることも特長だ。
2枚のパネルでiPad Pro全体を包み込む形状。iPad Proを装着した状態でヒンジがしっかりと固定されるように、キーボード単体でパネルを開いてみてもiPad Proのスタンドになる方のパネルが自立する。
キーボードの外装。滑らかな質感はSmart Keyboard Folioとよく似ている。中央にはアップルロゴのレリーフが配置されている。
同じコンセプトのMagic Keyboardは2019年発売の16インチのMacBook Proや、今年の3月に発売されたMacBook Airにも、使い勝手をブラッシュアップしながら搭載された。
iPad Pro専用のMagic Keyboardは、従来から販売されているSmart Keyboard Folioと比べて高価なアクセサリーだが、機能や操作感にどのような違いがあるのだろうか。実機を試してみた。