アマゾンはこのほど、アマゾン・シッピングの試験運用を6月に一時停止すると明らかにした。アマゾン・シッピングは、アマゾンのサイトで商品を販売しているが、同社の物流拠点(フルフィルメントセンター)を利用せず、商品を自社倉庫で管理し、配送を自ら管理している業者に対して、アマゾンの集荷サービスを提供するプログラムだ。2018年にロサンゼルスで始まったが、それ以来、対応エリアはニューヨークやシカゴなど、「一握りの都市」(アマゾンの説明による)にまで拡大されている。
このプログラムの一時停止計画については、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じていた。
アマゾン・シッピングの規模や範囲、さらには、このプログラムを用いているサードパーティ業者の数などの詳細について、アマゾンはコメントを避けた。また、同プログラムを再開するつもりはあるのか、あるとしたらいつになるのかについても、具体的な情報を明かさなかった。
だが、一時停止の決定を、UPSやフェデックスの株を持つ投資家たちが歓迎するのは確実だ。投資家たちはこれまで、急成長を遂げるアマゾン・ロジスティックス(Amazon Logistics)が、従来型の貨物輸送サービス企業から配送のシェアを奪うのではないかと懸念していた。4月8日、UPSの株価は6%、フェデックスは8%上昇した。
サードパーティの販売業者向けサービスは、アマゾンにとって主要な成長のけん引役だ。2019年第4四半期におけるこうした業者の売上は、前年同期比で30%増加していた。
これは、アマゾン本体のオンラインストア売上の伸び率と比較して、2倍という急成長ぶりだ。全世界で見ても、アマゾンを通じて販売される商品のうち、数にして53%をサードパーティの業者が占めている(これらの数字は、2019年第4四半期の決算報告をもとにしている)。
アマゾンの物流サービスは着実に勢力を拡大しており、9000億ドル(約96兆8990億円)の規模を持つ米国の貨物輸送セクターの現状を覆しかねない脅威と捉えられている。