ビジネス

2020.04.06

LINEで気軽に専門家へ相談──ファミワンが目指す「妊娠と向き合うため」の妊活

(左)ファミワン 代表取締役の石川勇介 (右)ファミワン 代表看護師の西岡有可


「小田急電鉄でのセミナーでは、女性社員から妊活に関する相談があったときに何と答えるべきか、また上司側から妊活に関して尋ねること自体はセクハラにならないのか、など管理職の方々を対象に“妊活”について知ってもらいました。妊活に取り組む夫婦・カップルだけでなく、彼らの職場の同僚・上司といった人々もそういった正しい知識を理解することで、周囲が妊活を支えていく社会にしていければ、と考えています」(西岡)


小田急電鉄での当日のセミナーの様子

「福利厚生としてミクシィグループに導入していただいてますが、『IT企業だからできるんだよ』と思われてしまっては、社会が変わっていかない。いかに世の中を変え、妊活を取り巻く状況を変えていけるか、が重要なので、大変ですが敢えて大企業向けに積極的にサービス案内に伺っています」(石川)

そのほか、2019年5月からファミワンは、「生活習慣が体外受精(IVF)の成功率に与える影響の解明」を目的とした臨床研究を、東京大学医学部附属病院を中心とする複数の医療施設と共同で開始している。

サービスの土台が整ったことで、今後ファミワンはサービスの浸透、そして福利厚生導入企業・行政の拡大、医療機関との連携を加速させていく、という。

「妊活3.0」の時代へ


「妊活」はその本来あるべき姿への認知が広がるにつれて、女性がひとりで向き合う「妊活1.0」から、夫婦・カップルで取り組む「妊活2.0」へと進化。そして今、企業や自治体なども含め周囲の人々が理解・協力する「妊活3.0」へと変わりつつある。

「妊活は妊娠するための活動ではなく、妊娠と向き合うための活動にしたい。妊娠と向き合った上で、どうするか。そのための選択肢を提供していきたいと思います」(石川)

また、西岡は「不妊の原因は女性と男性で半々なのでfamioneをきっかけに男性にも妊活について考えてもらえれば」と語る。

「ここ10年で男性不妊も非常に増えています。実際、WHO(世界保健機構)が健康な精子の基準値を変えたくらいに男性の精子の状態が悪くなっている傾向にあります。精子や卵巣の機能、予備能力は自分の健康を図るひとつの指標であるはずなのに、多くの人々がいざ妊娠を意識し始めるまで気にすることがない。

ようやく夫婦・カップルで取り組むもの、という認識が少しずつ広がってきましたが、その認識を事業を通じてもっと広げていきたいな、と思っています」(西岡)

ファミワンは今後も、社会で生きる私たち一人ひとりが妊活当事者であるという認識をもち、妊活という選択肢が当たり前の存在となるまでこの取り組みを続けていくという。

文=新國翔大 写真=小田駿一

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