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2020.04.06

LINEで気軽に専門家へ相談──ファミワンが目指す「妊娠と向き合うため」の妊活

(左)ファミワン 代表取締役の石川勇介 (右)ファミワン 代表看護師の西岡有可

4組に1組が不妊の可能性に悩み、6組に1組が検査・治療に取り組む──「妊活=妊娠するための活動」という言葉の広がりとともに、ここ数年で“不妊治療”に取り組む国内の夫婦・カップルが増えてきている。実際、年間40万回以上の体外受精が行われ、その出生児数の約17人に1人の割合を占めている、という。

妊活を始めるにあたっての課題も多く残る。タイミング法(排卵日予測)や人工授精、体外受精など妊活のステップが上がるにつれて、費用と時間の負担も増大。全体の平均でも59万円、18カ月かかっており、体外受精は1度の治療で30〜50万円が必要と言われている。

また、女性だけがひとりで悩みを抱え、妊活に取り組んでいるケースも少なくない。「仕事と妊活の両立」は大きな社会課題となっており、厚生労働省の調査結果によれば、不妊退職(妊活が理由の退職)は16%、働き方を変更した割合は8%。さらに、NPO法人fineの調査結果によれば、不妊退職の経済損失は2083億円にも登るという。

約6割の夫婦が「自信がない」と回答


多くの夫婦・カップルが妊活における不安、悩みを解消すべく、インターネットで情報を検索してみるが、たどり着くのは真偽が不確かな情報。いまだに“妊娠しやすくなる”とうたったお米がネット上で販売されていたり、子宝の神様と言われる「木村さん」の画像が出回っていたりする。バイエル薬品の調査によれば、約6割の夫婦が「妊活・妊娠に関する情報を正しく理解できている自信がない」と回答している。

適切な情報収集や意思判断をすることができず、受診時期が遅れ、妊娠率の低下を招き、その結果として日本経済に大きなマイナスの影響を与えているのが現状だ。

「情報が溢れすぎていて、何が正しいのか分からない」「相談しづらい」「パートナーが協力的でない」など、妊活に取り組む人の悩みを解決すべく誕生したのが、LINEを活用した妊活コンシェルジュサービス「famione(ファミワン)」だ。

同サービスを運営するファミワンは4月6日、KVP、Aflac Ventures、LLC.、ベンチャーユナイテッド、AGキャピタルのほか、西川順や守屋実など複数のエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資および、日本政策金融公庫からの融資を合わせて、総額1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。



今回調達した資金をもとに、ファミワン は「famione」への事業投資、そして人材採用を本格化することで、2021年末を目処に累計登録者数100万人突破を目指していくという。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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