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2020.04.06 10:00

LINEで気軽に専門家へ相談──ファミワンが目指す「妊娠と向き合うため」の妊活

(左)ファミワン 代表取締役の石川勇介 (右)ファミワン 代表看護師の西岡有可


「妊活で妻と喧嘩」の苦労が、創業のきっかけ


ファミワンの創業は2015年6月。代表取締役の石川勇介は、もともと医療情報専門サイトなどを運営するエムスリーで新規事業立ち上げに従事していた人物。「起業したいと思ったことはなかった」と語る石川が、妊活・不妊治療領域で起業した理由は、自らの家庭で妊活に苦労した経験を、次の世代にもさせたくなかったからだという。
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「私自身も約1年ほど、妻と一緒に妊活を取り組む中でさまざまな壁にぶつかりました。当時は医療系のキュレーションメディアが盛り上がっていて、妊活に関する情報を検索すると一番上に必ず出てくる。そんな状態でした。

医学的な視点から『そうした記事の内容はエビデンスもなく、適切ではない可能性が高い』と私は判別できるのですが、妻のようなほとんどの層は医学的な知識はないため、キュレーションメディアの記事が読みやすく、その内容を信じてしまいやすい。そうしたこともあって、妻とは喧嘩もたくさんしました。その後、無事に子どもを授かることができましたが、こうした妊活の苦労は次の世代に残しはいけない……。そう思い、ファミワンを立ち上げました」(石川)

2015年当時、今ほど“妊活”という言葉は一般的ではない。そうした状況の中、どういったサービスがユーザーに求められているのか、石川は考え続けた。月額課金制や成果報酬型など、さまざまなモデルを取り入れ、その都度ユーザーの反応を見て、サービスをブラッシュアップさせていった。10回ほどのピボットを経て、行き着いたのが現在のモデルだった。
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Shutterstock

「妊活に取り組むユーザーのニーズとしては『妊娠したい』が最も大きい。そのニーズに対してストレートに打ち返せるビジネスモデルが理想的だとは思うのですが、『絶対に妊娠できる』とは言えないわけです。それを言ってしまったら、怪しいサプリメント等と同じになり、まっとうではなくなってしまう。

妊活・不妊治療領域でのビジネスにおいて最も大事なのはユーザーからの信頼です。どうしたら使いたいと思ってもらえるか、とにかく試行錯誤を繰り返し、PDCAを回し続けました」(石川)

その過程で、石川が着目したツールが「LINE」だった──。

「妊活をサポートするサービスもさまざまありますが、ユーザーの多くはそもそも“何が分かっていないのかが分かっていない”し、相談したいと思っていない。であれば、聞きたいことがあるから登録するのではなく、こちら側が質問を送り、それに回答するだけでアドバイスをもらえる形であれば使いやすいのではないか、と考えました。

悩み始めてから使うのではなく、悩み始める前から使ってもらう。そうすれば早い段階からサポートすることもできる、と思いました」(石川)

LINEを使い、チャット形式で相談できるようにすれば、ユーザーも気軽に悩みを打ち明けられるのではないか。そう考えたわけだ。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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