──製品のコンセプトを正しく伝えるために、どのようなアプローチを取ったのでしょうか?
この商品は『しゅくだいやる気ペン』の公式サイトのみで販売しています。これはコクヨでも前例がほとんどないこと。注文時には必ず公式サイトを経由するので、ファーストビューで「かきたくなる。ほめたくなる。」と、商品の本質を訴求するようにしました。
ページを開くと、「子どもが勉強をしている姿」の動画が目に飛び込んでくる。商品の詳細を説明するより前に、僕らが幸せにしたい顧客が子どもであることを表明し、共感してくれた人にこそ買ってほしいという思いを込めました。
──理解度を高めるために、あえて販路を絞るというのがユニークですね。
『しゅくだいやる気ペン』を一般の販路に乗せた場合、文具店や家電量販店に流通するでしょう。ただ、各店舗の仕入担当者は、この商品の置き場に迷うと思うんです。文具といえば文具ですが、家電といえば家電ですし、あるいはスマートフォン向けガジェットでもありますから。
コンセプトも含めた「新しい商品」の場合、使い方や効果への期待を来店客に尋ねられたとしても、販売員の方は説明しきれないでしょう。だからこそ、まずは僕たちが「商品がどのように認知されるか」まで、しっかりと設計しなければいけないと考えたのです。
「顧客との向き合い方」が、製作から販路までを左右する
──発売後の反響はいかがですか?
おおむね好評です。子どもからの「夏休みの宿題が早く終わりました!」なんてうれしいお手紙や、親からも「ほめるのが上手くなった」という感想をいただいています。
──なぜ、ほめるのが上手くなれたのでしょうか。
一例ですが、子どもが宿題の答えを間違えたとしても、その日に頑張った分の「やる気パワー」を可視化できますから、親は「ここは間違えちゃったけれど、今日はこれだけ頑張ったね!」とほめることができます。すると、子どもは「また明日も頑張ろう」と思えるようです。