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フォーブス ジャパン編集部 エディター

Shinwa Wise Holdings取締役会長の倉田陽一郎

世界と比べると極めて小さく、取り残されている──ここ数年、日本のアートマーケットに対する観測は悲観的な言葉で溢れかえっている。

実際、アート・バーゼルとUBSが発表した、2019年の世界美術品市場を分析するレポート「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2020」によれば、市場規模は641億ドル(約6兆7500億円)と推定されている。

一方、一般社団法人アート東京が発表した「日本のアート産業に関する市場調査2019」によれば、日本の美術品市場の規模は2580億円。世界シェアはわずか4%しかない。アートオークションの市場に限って言えば、市場規模は150〜200億円ほど。日本のアート取引市場のシェアは世界の1%以下、と更に低い数字となってしまっている。

映画業界も音楽業界も日本は“世界2位”のポジションを築いているにもかかわらず、アート業界が置かれている数字を見たら、明らかに低迷していると言っていいだろう。

そうした状況の中、「日本のアートオークションマーケットは1兆円以上……、アート取引市場全体は5兆円を超えられるだけのポテンシャルを秘めている。私は真剣にそう思っています」と語るのが、オークション会社「Shinwa Wise Holdings(シンワワイズホールディングス)」取締役会長の倉田陽一郎だ。

金融業界を経て、2001年にアートに専念。2005年にはアートオークションの会社として、初の株式上場を主導するなど、約17年間、オークション会社を経営してきた倉田。アートコレクターでもある彼が、いま人生を懸けて取り組んでいるのが「日本美術市場再生プロジェクト」だ。

2020年2月には、著書『日本のアートマーケットが1兆円になる日: 「日本美術市場再生プロジェクト」始動!』を上梓。同書には日本のアートオークションマーケットを1兆円規模にするための提言、そして決意表明が記されている。

倉田はいかにして、日本のアートオークションマーケットを再興しようとしているのか──彼が2時間弱のインタビューで語ったのは、「日本のアートマーケットに資金を流し込んで、代表的な日本人近代美術作家のマーケットメイクすること」と「新たな方法でアートの価値づけを行っていく」という2つの方向性だった。

過去には3兆円規模だった「日本のアートマーケット」


日本のアートマーケットは世界から遅れをとっている。そう言われても仕方ない状況にあるのは確かです。それは数字を見ても明らかでしょう。でも私は日本の美術品市場は今後大きく成長し、世界でのプレゼンスを高められる日が来ると確信しています。

現在、アートオークションの市場規模は150〜200億円ほどしかありませんが、昔の日本の美術市場は2〜3兆円ほどの市場規模があったのです。1980年代は日本人が世界中のアートを買い占めた、と言われていたほどでした。しかし90年代に入り、バブルが崩壊して以降、日本のアートオークション市場は右肩下がりで減り続けています。


Shinwa Wise Holdings提供

日本のアートマーケットに漂う閉塞感を打破し、再興するにはどうすればいいか──私には大きく2つのアイデアがあります。まず1つが、代表的な日本人近代美術作家のマーケットメイクを行い、きちんと価値づけを行っていくということです。

みなさんは日本画について、どれくらい知っているでしょうか? いまの若い人たちは“日本画”と聞いても、もしかしたらピンと来ないかもしれません。日本画を語る上で外せないのが「横山大観」という日本画家です。彼は「朦朧体」と呼ばれる、線描を抑えた独特の没線描法を確立するなど、明治時代の日本画を革新した当時のコンテンポラリーアーティストでした。

彼が描いた日本画は1990年には、オークションでは1億円以上で落札されていたのですが、90年代後半になると3000万円前後で落札されるようになり、2010年以降は1000万円前後で落札されるようになってしまいました。この30年間で、価格が10分の1以下になっているのです。

Shinwa Wise Holdings提供

文=新國翔大 人物写真=山田大輔

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