見えない男女格差を表す「ガラスの天井」を破り、管理職についた女性が不安定なポジションについたことや女性であることでアドバイスをもらいにくいことから、失敗しやすいことを表現している。また、一度「ガラスの崖」から落ちた女性はなかなか失敗を許されず、戻ってくることが難しくなる。これはリーダーポジションにつく女性が増えて発見された現象だ。
女性にはまだまだ議論されていない(認識されていない)問題が山積みだ。話されていないゆえに問題を伝えることができず、自信を失うばかりの人はどれくらいいるだろうか。
世界最大のビジネス特化型ソーシャルネットワークサービスのリンクトインは、世界22カ国を対象とした仕事で成功する自信に関する調査を行った。日本は男女合わせた総合で平均指標より2割も低く、全体的に自信がないということが明らかになった。さらに日本人女性は「成功する自信」において、男性よりさらに7.5%低い結果となった。最も自信がある国は、インド、インドネシア、中国という順番だ。
他国では学歴や所得の高さに比例して相対的な自信も高まるが、日本ではどのレベルでも低く、特徴的な傾向をしめしている。
2018年にAPEC(アジア太平洋地域)で初めてこの調査を行い、2回目となる今回はそれ以外の地域も含めて回答を募った。1回目でも日本は最下位を記録している。
なぜ日本人女性の「自信」は他国と比べて圧倒的に低いのか。リンクトインの広報担当者に話を詳しく聞いた。
━━世界平均を100とした時に、日本は22カ国中最低の80という指数が出ています。日本はなぜここまで仕事で成功する自信が低いのでしょうか?
日本人は他国と比べて比較的謙虚なので、あまり自信があることを表に出さないという文化的背景もありますが、それだけではなく、経済的な背景もあります。上のグラフを見ていただくとわかるように、上位には発展途上国が多く、下位には先進国が多めです。
調査の質問の中に「自分の親と比べて生活が豊かになると思いますか?」という質問があるからだと思います。発展途上国の人たちは国全体として右肩上がりなので、自分たちの生活がますます豊かになることが目に見えています。一方で、先進国の人たちは自分たちの生活が上の世代より豊かになるという確証はどこにもありません。
経済的な背景はそれ以外にもあります。この調査が行われたのは2019年の9〜10月です。日本では、ちょうど消費税増税の時期と重なります。また、ヨーロッパではイギリスのEU離脱などもあり、先行きが読めない経済に対する不安も自信のなさにつながっていると考えています。
女性についていえば、日本では「完璧」を目指す女性が少なくありません。完璧な社員、完璧な妻、完璧な母親など……。女性が置かれている環境自体が失敗を許さないところもあります。そうすると、どんなに学歴や収入が高くても、常に自信がない状態が続いてしまいます。