2019年12月に、世界経済フォーラム(WEF)が発表した各国の男女格差を示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は153位中121位で、OECD加盟国では最下位だ。特に政治分野は144位でワースト10位に入り、世界最低水準。経済分野は115位で、男女格差が顕著になっている。
なぜ日本では、依然としてジェンダーギャップが大きいのだろうか。世界経済フォーラム日本代表の江田麻季子に、国際的な潮流やジェンダーギャップ解消のためにできる工夫を聞いた。
あらゆるジェンダーが働きやすい環境について考えてみませんか。
──なぜ日本では、ジェンダー平等がなかなか進まないのでしょうか。またジェンダーギャップの解消のためにはどのような視点が大切でしょうか。
まず日本が進歩してないわけではなく、他の国々の方がジェンダーギャップを埋めるスピードが速い、ということが言えます。各所でいろいろな努力がされていますが、解消に向けた動きがゆっくりであるのは、日本特有の環境があるのかもしれません。もっと速く解消できると、私は思っています。
ジェンダーギャップは4つの分野で測られており、先進国では各国ともに医療、教育分野ではほとんど差がありません。一方、経済活動や政治参画についてはギャップが大きいのが一般的です。日本でも他の国々と同様なトレンドが見られますが、「変革を起こそうという力」「現状を破壊する力」が徹底されていないようです。
特に経済活動の分野では、日本の女性の就業率がOECDの平均より高いため、数年前に比べれば「女性の社会参画が進んでいる」と言われています。一方で、管理職や役員や、給料の格差は、依然として大きいままだと言えます。
なにかしら今までのシステムが邪魔をしていて、変えていく努力を企業全体でやっていかなくてはならないのです。
政治参画についても同様の考え方で、少しずつ女性の議員が増え、リーダーのポストに「より多くの女性を」という動きがある一方、フィンランドの新しいサンナ・マリン首相など女性が元首となり、またその他の国々でも女性閣僚の数が増えています。日本はまだそこまではいっていません。
日本では、今までの組織の慣習や風土を大切にしながらも、変えていこうというせめぎ合いの中で、どうしても今までの部分に引きずられてしまう傾向にあるように感じています。社会に参画する女性が増えたいま、多くの人が声を挙げてギャップの解消を進めていくべきではないでしょうか。