ビジネス

2019.12.31 09:00

バズ頼みの「打ち上げ花火型」マーケティングは終わる。2020年のSNSトレンド大予測【黄未来 x VAZ森泰輝】

(左)『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』を上梓した黄未来氏(右)VAZ代表取締役社長・森泰輝氏

(左)『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』を上梓した黄未来氏(右)VAZ代表取締役社長・森泰輝氏

TikTokの急成長をはじめ、SNSマーケティングのトレンドは目まぐるしく移り変わっている。まもなく2020年代に突入し、Z世代が高い社会的影響力を持ちはじめるようになるが、企業やインフルエンサーはいかにしてSNSを活用していくべきなのだろうか。

本記事では、中国の最新トレンドを学ぶオンラインサロン中国トレンド情報局を運営しながら、2019年10月に『TikTok 最強のSNSは中国から生まれる』(以下、『最強のSNS』)を上梓した黄未来氏と、国内トップクラスのインフルエンサープロダクションVAZの代表取締役社長・森泰輝氏が対談。「動画」と「インフルエンサー」を切り口に、国内外の最新事情も踏まえ、SNSマーケティングのトレンドを語ってもらう。

短期的なキャンペーンではなく長期的にSNSに「張る」ことの重要性や、動画プラットフォームの使い分けに必要な「トラフィックモデル」と「収益モデル」、そして「成金」が尊敬を集めない日本と米中の文化比較までトークは及んだ。


キャンペーン頼みの“打ち上げ花火型”マーケティングからの脱却

──あらゆるビジネスにおいて、SNSマーケティングが必須の販促手法となりつつあります。ビジネスにSNSを活用していくうえで、押さえるべきポイントを教えていただけますか?

:SNSに「乗る」だけでなく、「張る」ことが大切だと思っています。「乗る」とは、短期的なPRに、すでにシェアが大きくなっているSNSを活用すること。「女性向けサービスだから、Instagramに広告を出そう」というように、勢いがあるSNSに出稿していく、従来のマーケティング手法です。

「張る」とは、まだメジャーとは言えない立ち上がり期のSNSを積極的に活用することで、そのプラットフォームの成長の波に伴って、自身のビジネスも大きくしていくこと。日本だとまだマイナーな考え方ですが、長期的な広告費の節減につながりますし、立ち上がり期のマイナーなSNSのユーザーは熱量が高い傾向にあるので、ブランドに対する愛着も育まれやすい。たとえば、YouTuberのHIKAKINさんは、黎明期のYouTubeに「張る」ことで、プラットフォームの成長にあわせて、個人としての影響力も高めていきました。

中国では、企業の成功事例もあります。ここ3〜4年で急速にシェアを伸ばしたコスメブランド『完美日記(Perfect Diary)』は、「中国版Instagram」とも呼ばれる口コミアプリ『小紅書(RED)』に初期から「張る」ことで急成長しました。大手化粧品ブランドでも十数万フォロワーまでは達しないなかで、完美日記は160万前後のフォロワーを擁しています。2018年には、中国の大手ECモール『天猫99』のセールで、それまで中国の化粧品市場を席巻していた外資ブランドをおさえ、コスメの売上高で1位を獲得しました。
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文=小池真幸 写真=小田駿一

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