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2019.12.26 12:00

メルカリが東大と連携。いま「価値交換工学」の研究に取り組むワケ

(左)メルカリ取締役CINO・濱田優貴(右)RIISE初代機構長・川原圭博

(左)メルカリ取締役CINO・濱田優貴(右)RIISE初代機構長・川原圭博

2019年12月10日、東京大学インクルーシブ工学連携研究機構(RIISE)とメルカリの研究開発組織「mercari R4D」は、社会連携研究部門「価値交換工学」の設置を発表した。東大は先日、ソフトバンクと共同で「Beyond AI研究所」の設立を発表しており、大学とテクノロジー企業による「産学連携」の取り組みはますます加速しつつある。これらを踏まえ、今回の取り組みの狙いについて、RIISE初代機構長・川原圭博氏とメルカリ取締役CINO・濱田優貴氏に話を聞いた。


新たなイノベーションにつながる「芽」を生み出したい

──今回の取り組みの具体的な内容、それに至る経緯について教えて頂けますか?

川原:まず、そもそもの話ですが、インクルーシブ工学連携研究機構(略称:RIISE)とは、工学系研究科/新領域創成科学研究科/情報理工学系研究科/情報学環/生産技術研究所/先端科学技術研究センターから構成される東大内の連携研究機構です。同機構では、インクルーシブ(包摂的)な社会を実現するために、領域横断的な研究チームを組成することによって、民間企業等との社会連携を通じた「未来ビジョン」実現のための研究に取り組んでいます。

この文脈におけるインクルーシブ(包括的)という言葉には、テクノロジーを活用し、経済的な格差/地理的な格差を解消することによって、より公平で、より住みやすい、すべての人が活躍できるような社会を創ろうという意味が込められています。上記を踏まえ、今回は、産学連携に関する取り組みの第一弾として、メルカリさんと協働の上、「価値交換工学」に関する共同研究を開始することを発表させて頂きました。

濱田:実は、我々は、2017年12月の時点で社会実装を目的とした研究開発組織「mercari R4D」を立ち上げており、川原先生とは既にいくつかの共同研究に取り組ませて頂いています。今回の発表は、我々がこれまでに実施してきた共同研究をベースとして、今後、連携をより一層強化していこうという狙いが含まれています。

──そもそも、「価値交換工学」とはどのようなものなのでしょうか?

川原:歴史を振り返れば、人類は古くから物々交換に始まり、様々な形で「価値交換」を行ってきましたが、近年では、AIやブロックチェーンをはじめとするテクノロジーの急速な発展により、新たな「価値交換」の形が生まれてきています。これらを踏まえ、「価値交換工学」は、「価値交換」に関するテクノロジーを幅広く研究することで、世界中の人々がフェアでスムーズな「価値交換」を行うことが可能な社会の実現を目指す学問領域です。
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文=勝木健太 写真=柴崎 まどか

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