ビジネス

2019.12.26 12:00

メルカリが東大と連携。いま「価値交換工学」の研究に取り組むワケ

(左)メルカリ取締役CINO・濱田優貴(右)RIISE初代機構長・川原圭博


少し抽象的でわかりにくいかもしれませんが、この「価値交換」とは実際にはどういうことかと言うと、例えば、メルカリのプラットフォーム上では、ある利用者の方にとっては、「この商品はもう要らないな」と価値を感じなくなったモノが、別の利用者の方にとっては、「この商品は自分にとって必要なものだ」と価値を感じるということが日常茶飯事的に行われています。
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我々のような(研究者という)立場の人間からすれば、メルカリのプラットフォーム上で行われている「価値交換」は、研究対象として、非常に魅力的かつ奥深いものであると考えられるのです。「価値交換工学」では、上記のような取引行為を工学的な観点から研究することによって、より良い「価値交換」のデザインを行うことを目指しています。

濱田:インターネットの登場によって、誰もが情報にアクセスできるようになり、その結果、情報が自由に「行き来」することができるようになりました。グーグルは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」ことをミッションとして掲げていますが、最近では、ブロックチェーン技術等の登場によって、オンライン上で価値が自由に「行き来」する流れが生まれつつあります。これらを踏まえ、我々としては、メルカリを「価値交換のためのプラットフォーム」として捉えることで、新たなイノベーションにつながる「芽」を生み出していきたいと考えています。
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「売る」という行為をより簡単で身近なものにする

──研究内容については、これから詰めていく段階でしょうか?

川原:そうですね。我々としては、価値交換工学を「価値の分析」「価値の生成」「価値の交換」の3つの観点から研究していきます。この中の「価値の分析」は、モノやサービスの価値を希少性やコンテキストを踏まえて定量化する技術のことを指します。例えば、メルカリ内で行われた過去の取引を分析することによって、「この商品であれば、このくらいの価格で売れるはず」と予測することは「価値の分析」であると捉えることができます。

また、「価値の生成」というのは、モノやサービスの価値を創出し、高めるための技術のことを指します。例えば、普段利用していない遊休資産をシェアリングエコノミー的に活用することは「価値の生成」であると捉えることができます。最後に、「価値の交換」というのは、人々が安全かつスムーズに「価値交換」を行うプラットフォームについて研究することを指します。前述のブロックチェーン技術は、この範疇に含まれるテクノロジーの一つとして捉えることができますが、ブロックチェーンに限るつもりもありません。
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文=勝木健太 写真=柴崎 まどか

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