「どうしたら、思春期になっても嫌われない父子関係が築けるのだろう?」。お父さんたちのこういった嘆きをよく耳にする。
でも、この悩みは、どうやら日本特有のもののようだ。
では、「パパ育児先進国」としても有名なスウェーデンではどうなのか?
高校時代にスウェーデンに交換留学し、大学卒業後はスウェーデン大使館商務部勤務。その後、理想の子育てを求めて家族でスウェーデンに移住した久山葉子氏に、スウェーデンの父子の関係や子育て事情について聞いてみた。
男親の育休習得率は、スウェーデン90%以上、日本6.16%
「スウェーデンのお父さんたちに、思春期の子どもとのかかわり方を聞いたら、ほとんどの場合、『ただ、普通に接しているだけだよ』と答えるでしょう。逆に『思春期になるとつき合い方が変わるの?』と質問を受けるかもしれません」と久山氏。思春期だからといって別段意識しないというのだ。
スウェーデンでは、産まれたときからお父さんも当然のように子どもとかかわり、育児を行なう。スウェーデンにおける父親の育休取得率は実に90%以上。6.16%の日本とは雲泥の差だ。実際、久山氏の周囲の男性はひとりをのぞく全員が育休を取得。残りのひとりが育休を取らなかったのは、海外勤務で育休の制度が利用できなかったからだという。
子どもが生まれると父親と母親で順番に半年間ずつ育休を取って子育てに専念するのが、スウェーデン流子育てのスタンダード。父親も育児をちょっと「手伝う」ではなく、育児にがっつりと向き合う。しかも6カ月間も。子どもと過ごす時間が圧倒的に違う。
「離婚している家庭も多いのですが、離婚後、子どもは一週間ずつ交互に母親と父親の家で暮らします。私は高校で教えているのでたくさんの生徒を見てきましたが、親との相性によっては、母親よりも父親を“メインの親”と考えている子もいます。男子生徒も女子生徒もともに、普段の会話の中でお父さんのことがよく話題に出てきます」