シベリア鉄道をプチ体験 生まれ変わった寝台列車に乗ってみた

3等寝台は通路の両側に3段ずつ寝台が並ぶ(最上段は普通使われない)


昨年、ひと晩きりのシベリア横断鉄道に乗る旅、その機会を2回ほど得た。飛行機で乗車駅の都市まで飛んで、そこから夜行列車に乗る旅だ。

1回目は、昨夏、極東ロシアのアムール州の州都、ブラゴヴェシチェンスクからハバロフスクまで。ブラゴヴェシチェンスクはシベリア横断鉄道の支線の町だが、1日1本ハバロフスクまで夜行列車が走っている。2回目は、11月、ハバロフスクからウラジオストクへの夜行寝台「オケアン号」である。


ブラゴヴェシチェンスク駅発ハバロフスク行き夜行列車に乗り込む乗客たち

ハバロフスク駅午後8時50分発の夜行寝台オケアン号は、毎日運行されているので、ひと晩きりのシベリア鉄道体験にうってつけだ。オケアン(Океан)とは、ロシア語で「大洋」の意味。両都市を11時間半で結んでいて、ウラジオストクに朝8時半に着く。逆のルートもほぼ同じ時刻に出ているので、そちらに乗ってもいい。

出発30分前にハバロフスク駅に着くと、オケアン号に乗り込む乗客たちがホームに並んで乗車を待っていた。若者から家族連れまで、大きなスーツケースを抱えて、検札の真っ最中だった。


シベリア横断鉄道の車掌の大半は女性である

乗車し、コンパートメントで荷物を下ろして一服していると、列車は定刻どおり静かに動き出す。それを合図に、早速、お目当ての食堂車を訪ねた。なぜかといえば、食堂車の営業時間は午後11時までなので、ゆっくり食事を摂るには時間が限られているからだ。

オケアン号の食堂車は、紫色を基調としたしゃれた雰囲気で、4人掛けのテーブル席と奥にカウンターバーのようなスペースがある。ここで、ロシアンディナーやアルコールが楽しめる。


「オケアン号」の食堂車はなかなかにしゃれている

食堂車を利用するもうひとつの理由は、ロシアの列車はコンパートメントの中での飲酒はNGだからだ。その厳格ぶりは徹底していて、駅舎内のキオスクでもアルコール販売は禁じられているほど。ホテルの部屋飲みのように、市場で買ってきたつまみを肴にワインを開けるというようなお楽しみは難しいので、食堂車に行くしかないのである。


白身魚のソテーやボルシチ、ロシア風ポテトサラダなど
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文=中村正人 写真=佐藤憲一

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