一方、錦織が繰り上がりで出場することになったことは、ユニクロにとってはもう一つの大きな“成功”となった。エンドースメント契約料が年間およそ3300万ドル、年収ランキングで世界3位に入る錦織が、より多くの人がユニクロのウェアを目にするチャンスを増やすためだ。ラケットを提供するウィルソンもまた、同様の機会を得たといえる。
錦織もフェデラーと同じように、この大会にはナイキのシューズを履いて出場する。ナイキは今秋、「AIR ZOOM VAPOR X(エア ズーム ヴェイパー X)」を発表している。フェデラーが(シューズを手掛けていない)ユニクロとの契約後に、ナイキとどのような交渉を行っているかは明らかにされていない。
ユニクロはフェデラーと錦織という素晴らしい“登録選手名簿”を作ったかもしれない。ただ、契約している選手の数では、ラケットメーカーのヘッドが3人で同社を上回る。ラケットではそのほか、ウィルソンが2人、ダンロップとバボラ、プリンスがそれぞれ1人と契約している。
今シーズンの最終戦となる大会への出場権を獲得した選手のスポンサー各社は、それぞれに恩恵を得ている。だが、ユニクロほど注目を浴びた(また、それに匹敵するだけの費用を投じた)企業は、恐らくほかにないだろう。
最終的にユニクロにどれほどの利益がもたらされるかは、フェデラーと錦織に懸かっている。年収ランキング4位、年間のエンドースメント契約料が2200万ドルのジョコビッチが契約するラコステが、最大の利益を得ることになる可能性もある。