しかし、その契約が今年3月に終了を迎え、フェデラーが次のスポンサーに選んだのが日本のユニクロだ。7月2日の英ウィンブルドンのセンターコートに彼はユニクロのウェアに身を包んで現れた。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は声明文で次のように述べた。「ユニクロとフェデラー選手との新しいパートナーシップは、テニスコート上のみに限らない。私たちは世界を良い場所に変えるというゴールを共有し、多くの人々をより豊かな世界に導いていく。ユニクロはフェデラー選手のテニス界における前進を支援するとともに、新たなテクノロジーやデザインを通じたイノベーションを推進していく」
ユニクロはテニスシューズを製造しておらず、フェデラーは2日の試合ではナイキのシューズを履いていた。ナイキは今後もフェデラーの名をかたどったRFロゴの権利は持ち続ける。試合後の会見でフェデラーは記者団の質問に答え、現在ナイキとシューズに関する契約は結んでいないと述べた。
ESPNの報道や、テニスジャーナリストのVincenzo Martucciによると、フェデラーとユニクロの契約額は10年間で推定3億ドル(約333億円)に及ぶという。また、契約期間中に彼が引退した場合も、満額が支払われると報道されている。
2016年の膝の怪我により、フェデラーには引退説もささやかれた。2016年8月に彼は35歳を迎えており、引退しても不思議ではない年齢だった。しかし、フェデラーはその後もプレイを続け、3つのグランドスラム優勝を達成。今年2月発表の男子テニス世界ランキングでは史上最年長の36歳で1位に立ち、アンドレ・アガシ(当時33歳)の記録を塗り替えた。
フェデラーが獲得した賞金総額は1億1600万ドルに達しているが、スポンサーシップで稼ぐ金額も莫大だ。メルセデス・ベンツとスイスの菓子メーカー「リンツ&シュプルングリー」は昨年末、フェデラーとの契約を更新した。フェデラーは昨年、新たにイタリアの食材メーカー「バリラ」と、推定4000万ドルの契約も結んでいる。
スポーツ界で7番目に稼ぐ選手
他のスポンサーとしては、クレディ・スイスやロレックス、モエ・エ・シャンドン、NetJetsなどがあげられる。
フェデラーはフォーブスの「世界で最も稼ぐスポーツ選手ランキング」で7位に入っており、年収は7720万ドル。そのうち6500万ドルがスポンサー収入で、1220万ドルが賞金だった。
今後の1年でフェデラーのスポンサー収入は7000万ドルを超え、イベントの出演料を含めるとさらに金額は膨らむとみられる。彼に匹敵する収入を稼ぎ出せたスポーツ選手としてあげられるのは、マイケル・ジョーダンとタイガー・ウッズの2名のみとなっている。
フェデラーは今回のウィンブルドンで9回目の優勝を狙っている。しかし、試合の結果を待たずして、彼は莫大な金額を手にすることになった。