ダンキンドーナツは9月25日、1950年にマサチューセッツ州クインシーに1号店をオープンして以来、使用してきた店名から「ドーナツ」を取り除くことを正式に発表した。看板やカップに記される名称も、来年からは「ダンキン」に変更される。
ダンキンは顧客と「ファースト・ネームで呼び合うような関係を築きたい」としているが、実際には消費者がすでに使っていた名称を新たな店名とすることで、改称はファストフードのKFCや米公共ラジオ局NPRなどのケースと同様に、スムーズに受け入れられることになるだろう。
本当の狙いは─
だが、変更の本当の理由はもちろん、コーヒーショップとしての位置付けを強化し、大手スターバックスの競争相手となることにある。両社はすでに米国内の多くの地域で競い合っているが、世界的に見れば明らかに、スタバが優勢だ。
ダンキンは国内の41州に約8500店舗、国外では36カ国に約3200店舗を構えている。一方、スタバの店舗数は75カ国に2万7000店以上だ(米国の約7500店舗を含む)。さらに、これにはスーパーマーケットなどの店内にあるスタバのカウンターや、スタバの商品が買えるその他の店を含まない。
ただ、両社の事業の主要な分野において、ダンキンがスタバに勝てるものが一つだけある。それは、ドライブスルーでの購入にかかる時間だ。
レストラン業界誌QSRマガジンによれば、ドライブスルー店で商品を購入する際の所要時間は、スタバが平均4.44分。ダンキンの場合は同2.90分で、最短の時間で買い物ができる店の一つとなっている。
ダンキンが本当にコーヒー市場に参入する準備ができているかどうかは疑問だ。ダンキンのコーヒーを「ひどい」と評価する声も多く、スタバに劣るのは明らかだ。だが、ダンキンが今後、“スピードバンプ”を作ることなく客足を伸ばしていくことができるとすれば、KFCとNPRには名称の変更を評価してもらえるかもしれない。