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ハワード・シュルツ(Stephen Brashear/Getty Images)

米スターバックスのハワード・シュルツ会長が4日、退任を発表した。これにより彼は、スタバを小さなコーヒー店チェーンから、世界有数の認知度と顧客忠誠度を誇るブランドへと育て上げた起業家としての目覚ましいキャリアに幕を閉じた。

シュルツが同社に加わったのは1980年代前半。1987年に同社を買収し、30年かけて2万7000店以上、従業員25万人以上の世界的コーヒーブランドへと成長させた。

複数市場における同社の急速な拡大の中核には、ある素晴らしい信念があった。それは、一貫性のあるスターバックス体験だ。シュルツは自著『スターバックス成功物語』の中で、その背景にある目標や哲学を次のように説明している。

「私は、サードプレース(第3の居場所)を探す顧客が増えていることに気づいた。仕事や家庭のプレッシャーから逃れ一時の安息を得られる、魅力的で刺激的で、時には感情のこもった場所だ。人々は、外出して一息つくため、忙しい日々の息抜きのため、自分へのご褒美のためスターバックスを訪れる。行く価値のある場所でなければならず、少しでも間違いがあればブランドに傷がつく。私たちが『全てが重要』と言うのはそのためだ。

私たちの店は事実上、私たちの広告掲示板なのだ。客は店舗に足を踏み入れた瞬間から、スタバブランドの印象を持つ。ブランド構築にとって、私たちが作る雰囲気はコーヒーの質と同じく重要だ。全スタバ店舗は、顧客の視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚の全ての品質を向上させるべく入念に設計されている。全ての感覚的なサインが、同じ高水準に達しなければならない。芸術作品や音楽、香り、外観が全て、コーヒーの味と同様『ここにあるものは全て一流』というメッセージを、潜在意識に訴えかけなければならない」

スタバをただの大規模なコーヒー店チェーンにするより「一流のサードプレース」にしたいという願望が、シュルツが残した最も大きなレガシー(遺産)の一つにつながったのかもしれない。それは、従業員志向の労務管理による競争力向上だ。

シュルツは、コーヒー豆のひきが甘いことから顧客へのあいさつまで、店舗体験の細部が重要だと熱心に主張した。最前線でこうした細かい部分を担うバリスタは、コーヒーと同様に“商品”であり、同じレベルでその質を気にかける必要があった。

こうした労働の見方は非常に革新的であり、現市場での一般的なパートタイム従業員の待遇とは大違いだ。スターバックスは、他社とは異なる指標と優先順位を持ち、従業員管理をよりホリスティック(全体的)な視点で見たのだ。

編集=遠藤宗生

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