聴覚過敏への工夫:イヤーマフやデジタルイヤホン
雑音(エアコンや換気扇の音)なども聞こえてしまう人におすすめしたいのはイヤーマフやデジタルイヤホン。雑音をカットし、必要な音に焦点をあてて聞きやすくしてくれる。
筆者の場合は、音の刺激が一定である場合は集中ができるため、集中して作業するときは他の音をすべて遮断し、音楽を聴くことで対処している。
不快な音は好きな音で消すこと集中することができる。また、周りに音や刺激が気になり集中できない人は、分厚めの衝立で刺激を遮断することをおすすめする。
視覚過敏への工夫:明るさを暗めに設定
光がまぶしい人は、パソコンやスマートホンの明かりを暗く設定する。サングラスは必須。紙が白くてまぶしい人は、クリアファイルのカラー版がおすすめ。このクリアファイルをかぶせるだけで字が読みやすくなる。
触覚過敏への工夫:心地よい素材の服を何着も持つ
一度心地よい素材を見つけたら、その素材の服を買う。もしくは、同じ服を繰り返し買う。筆者の知り合いの子どもは同じ服を10着も持っていて、それを毎日着ている。どうしてもスーツなど苦手な触感の服を着なければならないときは、そのときだけ着替える。
もしくは、心地の良い素材のもの(ハンカチやストール)を組み合わせることで、心地悪さを濁すのもひとつの手だ。
人の気持ちや周りの反応に過敏な特性
五感の過敏さについて紹介したが、そのほかにも、人の気持ちや周りの反応に過敏な特性をもつ人もいる。いわゆる「感受性」が強いと言われている人だ。
例えば、自分は怒られていないのに、他の人が怒られている場面を見聞きすると、自分が怒られたのと同じくらいダメージを食らってしまう。また、すこしでもネガティブなことを言われると、その言葉がずっと頭を渦巻いたりしている場合もある。
早い段階での自己認識と過敏さを忘れる楽しい経験
他の人がどのように感じているかを知ることが極めて困難であるため、自分と他者の感じ方を比較するのは至難である。過敏な子どもたちの中には、「周りも自分と同じぐらい不快なのに、我慢している」と認識してしまっている子どももいる。
早い段階で「他の人よりも自分が感じやすい」ことを自己認識し、そのための対処方法を知っておくことが重要だ。また、楽しんでいるときは、不快な感覚を忘れている人が多い。そのため、過敏さに勝るぐらいの楽しい経験や好きなものに出会える。
感じ方は学習してきた、というより、生まれ持ったものであるため、「過敏さを克服する」のは難しい。それよりも、うまく付き合っていけるように工夫していくこと、そして周りの人も上記のような困難さを抱えていそうな人がいたときには、寛容な環境づくりを一緒につくってほしい。
また、「神経質すぎる」と過敏さにネガティブなレッテルを張るのではなく、むしろ「細部で気が付く」「音を聞き分けられる」「繊細な味覚」など過敏さとうまく付き合いながら、強みとして活かしていけるとより良いと筆者は思う。
連載:「インクルーシブな社会」の実現に向けて
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