「過敏」とうまく付き合う方法 感じやすい人がとるべき工夫とは?

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前回の連載では、障がい者の捉え方についてお伝えした。端的にまとめると、下記の3点に集約されると私は考えている。

1. 困難さは個と環境との相互作用の中に起きること

2. 障害特性には濃淡があり、大多数に合わせて社会がデザインされていることから、濃すぎる人・薄すぎる人は困難さを感じやすいこと

3. 性格か障害か、はその人が今いる環境によって異なってくる

今回は、さまざまある特性の中から、「感じ方」、特に過敏な特性を濃く持っている人の傾向と工夫できることについて書きたいと思う。筆者自身も過敏なところが多いため、自身の経験も含め、お伝えしていきたい。

音、光、におい、触感、さまざまな刺激の感じ方

「過敏」とは刺激に対して、過度に感じやすい特性である。私たちは普段、さまざまな刺激の中で、それらを視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚の五感で感じながら生きている。これらの刺激への感じ方は、もちろん一人ひとり全く異なる。

読者には「耐えられない不快な音」や「耐えられない不快な触感」はないだろうか。例えば触感でいうと、服のタグがチクチク痛くて耐えられない人もいれば、まったく気にならない人もいる。

もしくは、エアコンや換気扇、プロジェクターの音が聞こえすぎて、うるさく聞こえる人もいれば、気にならない人もいる。嗅覚はどうだろう。筆者は新幹線やバスの中のにおいがたまらなく苦手である。

辛い食べ物はどうだろうか。唐辛子の刺激がたまらなく好き、という人もいれば、中辛のカレーでさえもものすごく辛く感じる人もいる。天気の良いとき日差しがまぶしすぎてカーテンを引きっぱなしという人もいる。

このように、感じ方は本当に一人ひとり異なるし、個人の中でも音に関しては過敏、視覚については感じづらい(鈍麻)、など個人内差もある。

また、こういった特性を持つ人について1996年にエレイン・N・アーロン博士は「ハイリー・センシティブ・パーソン」といった言葉を考案している。

また、自閉症スペクトラム症などの発達障害のある人の中には過度な感覚な過敏さや鈍麻さがある人が多いと言われている。

過敏すぎる特性と工夫

これは度々伝えていることではあるが、世の中は残念ながら、過敏な人用にはつくられていない。なぜなら、街は音と光であふれている。聴覚や視覚過敏な人は、他の人は気が付かないような情報もすべて入ってきてしまうため、疲れやすいという人が多い。

また、不快な音などの刺激が多ければ多いほど、外に出るのは嫌がるだろう。筆者自身も刺激が多すぎる人混みは苦手で、小さいころから家族が水族館や動物園に行く日でもひとりで留守番をしていた。

そのほかにも、例えば味覚への過敏さがある場合は、偏食である可能性が高い。触覚過敏の方は同じ服を何枚も持っている人が多い。また体調との関連もあり、体調が不調な時は過敏になりやすかったりする人も多い。

過敏とは逆に鈍麻な人から、「気にするな」と言われるかもしれないが、気にする以前に勝手に刺激が入り込んでくるから、仕方ない。工夫していくしかないのだ。

過敏すぎる人にはなかなか生きづらい社会だが、工夫の方法はいくらでもあるので、ここではよく聞く聴覚過敏、視覚過敏、触覚過敏についていくつか紹介をしていきたい。
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文=野口晃菜

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