女性に多い「インポスター症候群」 3つの克服方法

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私はコーチング業を営む中で以前、サンドラという女性を紹介された。彼女は類いまれな指導力を持ち、大きな成功を収めたプロフェッショナルで、経営陣に加わるよう仕込まれていた。

才能にあふれ成功も収めてきた彼女だが、初回のコーチングの終了時、「実は、お会いするまで非常に緊張していました。指導する価値のない人と思われるのではと思って……」と心境を明かしてくれた。

驚くべき発言だが、私にとっては予想外ではなかった。以前こうした発言を受けたことがあったからだ。こんなことを言うのは、女性のクライアントだけだった。

これは「インポスター症候群」と呼ばれ、自分が詐欺師のように思われること、自分の成功に価値がないこと、自分は他人ほど能力がないことに恐怖心を感じる状態だ。男女どちらにも起き得るが、女性の方が影響されやすく、その程度も強い。

複数の研究によると、自己不信を感じている女性は男性に比べ、昇給や昇進を求めることが少なく、キャリアに悪影響が生じ得る。ヒューレット・パッカードの社内調査からは、女性は自分が応募要件を100%満たしていると感じた仕事にしか応募しないが、男性は60%しか要件を満たしていない場合でも応募することが分かった。

認知心理学の研究によると、成功や失敗への反応には明確な男女差がある。男性は、成功を自分の能力や才能、努力などの個人的な要素に結びつける一方、失敗を外部のせいにしがちだ。女性はその逆で、成功はタイミングや運のおかげとし、失敗は個人的な欠点が原因だと考えやすい。

インポスター症候群のわなにはまったとしても、そこにとどまる必要はない。3つの克服方法は次の通りだ。

1. 成功を自分のものとする

数年前、私はある女性の面接指導をした。応募先の企業に伝えたい、過去の大きな成功は何か尋ねたところ、数秒の沈黙があった。彼女はため息をついてからついに「本当に分かりません。うまくできることはいろいろありますが、やっている最中は分からないのです」と答えた。

能力と自信の間には、ほとんど関係がない。自信を持てるのは、自分がどれだけ優秀かに気づいたときだけだ。私がよく勧めるのは、成功の記録をつけること。毎日、できれば1日の終わりに自分が誇りに思っていることやうまく対応できたことを全て書き出そう。どんな小さな成功でも、記録して読み直すと自己評価が上がる。

また、自分の達成事項を過小評価するのはやめよう。運がある程度影響していても、得たチャンスを活用する準備ができていたのは、偶然でも運命のいたずらでもない。

最後に、自分の成功を他者や外部の要素のおかげとし、自分への褒め言葉を軽視したり無視したりしないこと。褒められたときはただ「ありがとう」と言おう。
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翻訳・編集=出田静

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