結婚式で二人は、「正しい服装」で「正しいこと」を言うのかもしれない。だが、兄のウィリアム王子夫妻とは違って彼らには、何かもう少し向こう意気の強さを感じさせるものや、私たちが自分と関連付けて考えられるものがある。
「家族の問題」を抱える
英王室の話題に関心を持ったことがある人なら誰でも、その過去が必ずしも安定したものではなかったことを知っている。テレビで放送され、世界中が注目したチャールズ皇太子と故ダイアナ元皇太子妃の結婚式から夫妻が離婚に至るまでの出来事を、私たちの全てが目にしてきた。
(ヘンリー王子が生まれたとき、女の子ではなかったことに皇太子が失望したという元妃の主張をはじめ、)夫妻には多くの問題があった。その中でも最大の関心事となったのは、皇太子がカミーラ・パーカー・ボウルズを愛し続けたことだろう。
それについてダイアナ元妃が、「3人の結婚生活だった。少し人が多すぎた」と語ったことはよく知られている。元妃は報復として、自らも不倫に走った。そして、1997年に元妃が死去した後、皇太子は王子たちが付き添うなか、カミラとの結婚式を挙げた。
一方、メーガンの両親も、彼女がわずか6歳の時に離婚している。メーガンはソーシャルワーカーでヨガ講師の母親、ドリア・ラグランドと暮らした。だが、デイタイム・エミー賞を受賞した照明ディレクターの父トーマス・マークルに連れられ、テレビドラマの撮影用のセットでも長い時間を過ごしたという。
ただ、本当のドラマを繰り広げているのは、メーガンの異母きょうだいだ。異母姉のサマンサ・グラントは複数のメディアのインタビューでメーガンを繰り返し批判。暴露本の出版も予定している。異母兄のトーマス・マークル・ジュニアはヘンリー王子宛てに、結婚は「英王室の結婚の歴史上、最大の過ち」と記した手書きの書簡を送付している。
メーガンは「一般人」
私立学校に通ったメーガンは、貧困層の出身とは言えない。そして間違いなく、英社会の上流階級で育ったわけでもない。ウィリアム王子の妻キャサリン妃も王室とは無縁だったが、事業を通じて自力で富豪になった両親のおかげで王子と同じ大学に入学。二人はそこで出会った。
テレビドラマに出演していた女優のメーガンが英国の女王を義理の祖母と呼ぶようになるのは、本当に驚くべきことだ。私たちにも、誰にでもいつ何が起きるか分からないと思わせてくれる。
文化を「ブレンド」する二人
白人の父と黒人の母を持つメーガンとヘンリー王子の交際が明らかになると、一部の人たちはその最悪の部分をむき出しにした。そうした状況を受け、ヘンリー王子は声明を発表。ソーシャルメディアにメーガンを中傷するような投稿があふれていることや、性差別的、人種差別的発言をしたコメンテーターらを非難した。それは、まさに注目に値することだった。
人種が異なるカップルは増え続けている。大きな注目を集める王子とマークルの二人は、そうした人たちが直面する問題を明るみに出している。私たちが目の当たりにしているのは、たとえ経済的に豊かでも権力があっても、全ての人が直面する困難は免れないということだ。
さらに、メーガンは米国人だ。結婚式の準備を進めるのと同時に、王室の伝統と英国の文化に適応することを学んでいる。愛には(地理的にも)境界がないことを示す、もう一つの証拠だ。