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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

(Photo : Slush Tokyo/ Petri Anttila)

「テクノロジーは、アフリカの新しい民主主義の姿なのです」

2018年3月28日と29日の2日間、東京ビッグサイトで開催された起業家イベントSlush Tokyoの初日に登壇したヴァイオラ・ルウェリン氏の言葉だ。

彼女は、現時点でアフリカ唯一のイスラム金融のフィンテック企業、オヴァンバ(Ovamba)の共同創業者で、昨年末にフィンランドのヘルシンキで開催された本家のSlushでも登壇していた。

ヘルシンキと同様、東京でも黒のタンクトップとヘッドスカーフという定番スタイルで、メインステージの参加者に熱いメッセージを送った彼女は、今年3月に公開された映画「ブラックパンサー」の国王の親衛隊ドーラ・ミラージュばりの圧倒的なエネルギーを放っていた。

「世界一クールな起業家イベント」と称されるSlushにおいて、会場が高揚する前向きなメッセージの発信は、どのスピーカーにとっても重要な使命だ。ルウェリン氏は、世界のどの地域にも優る速度で変化するアフリカ大陸における、市場機会をあらためて強調した。

アフリカ大陸の国土面積は、米国、中国、インド、英国、フランス、ドイツ、スペイン、東欧各国を含む13か国に匹敵する約3000万平方km。2040年にはその人口は25億人に達する見込みで、そのうち10億人が67の都市に集中するとされている。一方で、2016年の時点で、ベンチャーキャピタルのテクノロジー投資のうち、アフリカに対する投資の割合は、世界全体の0.3%だという。


メルカトル図法では縮小されてしまう、アフリカ大陸の本当の大きさ

アフリカはビジネスには最悪の場所だ

個別インタビューで訊ねたところによれば、ルウェリン氏自身も、オヴァンバを共同創業したマービン・コール氏に出会うまでは、アフリカにおける事業機会を、過小評価していたという。カメルーン人の両親のもと英国で生まれ育った彼女は、12歳から16歳まではカメルーンで過ごしたが、その時の記憶はあまりいいものではなかったようだ。

「コールが開口一番、絶対にアフリカの課題を解決して、ビジネス展開したいと言ったとき、私は、自身の居住経験などを踏まえて、アフリカはビジネスには最悪の場所だと言ったのです。でも、だからこそ課題を解決することでアフリカは世界を変えることができる、そうコールに力説されて、にわかに興味が湧いてきました」

その後、25年ぶりにカメルーンを再訪。アフリカでの事業機会を確信して調査を進めると、異口同音に資金アクセスの課題を耳にした。そこで、銀行や小口金融(マイクロファイナンス)機関の設立などを試みたが、失敗する。

資金アクセス自体ではなく、リスクと機会を判断し、最も事業拡大の潜在性が高い事業者に、迅速に資金を提供する仕組みがないことが課題の本質だったのだ。そこで、事業拡大を目指す中小企業に短期的に資金を提供する仕組みとして、2013年、オヴァンバが設立された。

オヴァンバの事業モデルは、日本の商社の役割とも少し似ているが、イスラム金融、絞られた業界の中小企業への特化、デジタルプラットフォームと独自のアルゴリズムを活用したリスク審査、といった3つの要素が特徴的だ。

まず、オヴァンバは、利子で稼ぐ銀行ではなく、現時点で、アフリカ唯一のイスラムの教義に基づいたシャリア(イスラム法)適格のフィンテック機関として、トレードファイナンスで新興企業の事業成長をサポートしている。

イスラム金融においては、宗教的な観点から、実体経済を伴わずに資金が増えるといった利子のような仕組みは禁じられている。一方で、実際の物や事業を通じた利益拡大は推奨されている。

文=MAKI NAKATA

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