テクノロジー

2018.02.27 08:00

世界が注目するアフリカ随一の「ICT立国」ルワンダの驚異

ルワンダの首都キガリの街並み

ルワンダの首都キガリの街並み

アフリカ大陸の赤道付近に位置するルワンダ共和国。日本ではあまり知られてはいないが、人口1200万人のこの小さな国が、ICT (Information and Communication Technology、情報通信技術)分野で、欧米を始めとする世界の投資家から大きな注目を集めている。

毎年5月、ルワンダの首都キガリで、アフリカ最大のICT国際会議「トランスフォーム・アフリカ・サミット」が開催される。この会議では、ルワンダの若手起業家たちが、海外から参加した投資家たちと投資をめぐって対決する。

若手起業家たちが投資家たちに事業計画をプレゼンするこのセッションは、いつも立ち見客が出るほどの大盛況。「よし、私が10万ドルを出資しよう」「この点が修正できるまで投資は見送りだ、だが修正できれば50万ドルを出そう」と、ショーのような小気味よい進行も人気の秘訣だ。

しかしそれ以上に驚くのが、ルワンダの若者たちが、GISやAI、そしてIoTなど先端テクノロジーを駆使したプランを、シリコンバレーの起業家さながらのプレゼン術で訴えかけることだ。そこでは、欧米やイスラエルから訪れた投資家たちも思わず触手を伸ばす、高い水準のビジネスプランが披露される。


2017年の「トランスフォーム・アフリカ・サミット」の様子

治安もビジネス環境も良い

日本人はルワンダといえば、1994年のジェノサイド(大虐殺)を思い起こす。フツ族とツチ族の対立の末に、わずか約100日の間で人口の1割に当たる80万人以上が殺害された痛ましい出来事だ。

私が初めてルワンダを訪問したのは、悲劇から20年を経過した2015年。驚いたのは、ゴミひとつ落ちていない美しい街並み、家電製品が整然と並んだショッピングセンター、そしてなんといっても夜9時を過ぎた暗い街角を若い女性が1人でスマホを操作しながら歩いていたことだ。

アフリカでは、ナイロビ(ケニア)、ヨハネスブルク(南アフリカ)など、昼間でも日本人が市街地を歩けない都市が多い。ところがルワンダでは、国民から絶大な支持を集めるポール・カガメ大統領のリーダーシップのもと、アフリカ諸国では群を抜く政治的安定を維持し、類を見ない治安の良さと汚職の少なさを実現している。世界銀行が発表する「Doing Business 2018」では、ビジネス環境の良さでアフリカ大陸の首位に評価された。世界ランクでは第41位と、第34位の日本とさほど変わらないのだ。

ルワンダは石油や天然ガスなど地下資源に恵まれない。それだけでなく港を持たない内陸国であることから製造業に不具合だ。ところが、これらを逆手に取る形で「ICT立国」を国家戦略に位置付けた。アフリカでの知識集約型産業におけるハブとなる、さながらアジア地域におけるシンガポールを目指した戦略である。

政府機関の電子化が民間を率先する。日本国籍者が、ルワンダ入国に必要な査証(ビザ)を取得するとき、オンラインで申請すると、3日以内にメールが届き、渡航が可能となる。このシステムは外国企業でなく、国内IT企業であるルワンダオンライン社が運営している。

世界経済フォーラム(ダボス会議)が2015年に発表したレポートの中でも、「ICTの活用促進に最も成功した政府」として、第2位のアラブ首長国連邦、第3位のシンガポールを押さえ、ルワンダは世界一に選ばれている。
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編集=フォーブス ジャパン編集部

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