15年に「ザ・ブレイズ」(保守系メディアの司会者グレン・ベックが設立したニュースサイト)のスタッフが呼びかけたキャンペーンは、数日で84万ドル以上を集め、寄付は実行された。しかしその内容は、「ゲイの結婚式にはケータリングをしない」と地元テレビで語って批判され、一時閉店を余儀なくされたインディアナ州のピザ店主を支援するものだった。
各メディアが報じ物議を醸したが、「結局のところ、我々は中立的なプラットフォームなのです」と、同社保証部門トップのダニー・ゴードンは言う。
「ゴーファンドミーは共感を民主化するんです」
むろんライバルもいる。多数の企業が、“手数料ではなく、チップで運営費をまかなう”モデルを掲げて、ゴーファンドミーに挑んでいる。寄付をする人々には、手数料よりチップ制のほうが親和性が高いという目論見だ。彼らは手数料を課金する代わりに、サイトの運営費を加算した金額を寄付するよう呼びかけている。
発足5年目の「ユーケアリング」は、過去2年間で3億ドル弱の寄付金を集めた。社長のダン・セイパーによれば、寄付者の80%が平均6%のチップを加算したという。
起業に特化した「インディーゴーゴー」は、14年に手数料無料の寄付サイト(現在の「ジェネロシティ」)を開設した。寄付者に最大15%のチップを求めるこのサイトは15年、“個人の個人的な事情”への寄付金を推定3000万ドル集めた。
証明された“寄付”市場
15年7月の資金調達を契機に、ゴーファンドミーの成長は爆発的に加速した。調達に先立つ創業からの5年間の寄付総額は10億ドル。その後はわずか9カ月で総額20億ドルに到達、その7カ月後には30億ドルに乗せている。
快進撃は続きそうだ。今年1月にはユニセフなどの大規模慈善団体や企業、イベントなどに強い、企業価値9,000万ドルの寄付プラットフォーム「クラウドライズ」を買収。さらに国を超えた事業拡大計画も発表している。昨年7月にはダブリンにオフィスを構え、アイルランドと英国でのサービスを開始した。カナダとオーストラリアにも進出を果たしており、欧州の数カ国にもまもなく拠点が開かれる。
20年までに、年間の寄付総額は50億〜70億ドルに達するとCEOのソロモンは予測する。「ゴーファンドミーはまもなく、世界最大の寄付組織になるはずです。ゲイツ財団を超えてね」
ロブ・ソロモン◎ゴーファンドミーCEO、投資家。49歳。成長期のヤフーでの役員、旅券横断検索「サイドステップ」CEO(2007年、同業「カヤック」に2億ドルで売却)を経て、グルーポンにてCOOとして急成長に寄与。13年にアクセルパートナーズにジョイン。15年、同社のゴーファンドミー買収に伴いCEOに就任。