これが、寄付プラットフォーム「ゴーファンドミー(GoFundMe)」のスタートアップとしての実績だ。では、寄付事業体としてはどうか。15年の寄付総額は、すでに赤十字の2倍を超えている。
自己資金のみで成長した6億ドルベンチャー
社会貢献や寄付に限らない米国「クラウドファンディング」全市場において、ゴーファンドミーはNo.1。企業規模は2位につける「キックスターター」の倍以上、まさに王者である。
キックスターターは主に製品開発に特化しており、ファンディングの分野も異なるが、大きな違いは「徴収システム」にある。どちらも集めた金額の5%を手数料として徴収するが、キックスターターでは目標額に達しない場合は、プロジェクトが成立せず、徴収も発生しない。一方、ゴーファンドミーは目標額を達成したか否かにかかわらず、寄付を実行し、5%を徴収する。締切などの期限もない。
ゴーファンドミーの経営陣は、自らを資本主義者だと公言してはばからない。彼らが目標に掲げるのは、より多くの人々が、より多くの金を、より効率的に、多様な「個人」に寄付する未来だ。そして、ゴーファンドミーの利潤は寄付額に比例する。
同社のサイトでは100万人もの人々が、難病であるサンフィリッポ症候群の基金への寄付や、ルイジアナ州で発生した洪水の被災者支援や、自分たちがプラハに新婚旅行するための旅費の援助などを求めている。
CEOのロブ・ソロモン(49)は言う。
「ゴーファンドミー以前、“大衆からの資金調達”に成功した人は誰もいなかった」
はじめから勝利の方程式が見つかっていたわけではない。サンディエゴ在住のブラッド・ダムフォース(34)とアンディ・バレスター(35)が、ゴーファンドミーの前身となる個人のための資金調達サイト「クリエイトアファンド(Createafund)」を立ち上げたのは08年のことだ。