対照的に、ディズニーは6番目の建設地に上海を選ぶまでに10年を費やした。ディズニーの姿勢からは、遠方からの旅行者だけでなく、多くの日帰り客を呼び 込んでこそテーマパークは成功するという長年の経験に基づいた哲学が垣間見える。上海の人口は2,000万人以上で、周辺の都市からは車でのアクセスも容 易だ。
対してワンダは大都市から離れた場所で観光客を当て込んでいるようだ。しかし、中国資本によるテーマパークの多くは、大きな期待を背負ってオープンし、いい加減な管理と来場者数の見込み違いによって、数年で閉鎖される運命をたどる。
同時期にオープンするワンダの江西省のテーマパークと上海ディズニーは、ワンダがテーマパーク事業で直面するだろう課題を描き出している。上海ディズニーが国内外で巨大な反響を呼ぶ一方で、江西省のテーマパークは話題にもなっていない。
世 界のテーマパークの中で高い注目を浴びるのはディズニーだけで、あとはユニバーサルスタジオが少し話題になる程度だ。ワンダは急ぎすぎではないだろうか。 筆者はワンダの江西省と桂林の施設の成功だけでなく、思い付きにも見えるテーマパークへの巨大な賭けの先行きに対しても不安を払拭できない。