ビジネス

2016.05.24

コストゼロ、横須賀の「道」は究極の観光資源

横須賀市馬堀海岸

起業家から、NPO、大学、老舗企業まで、住民総出の街づくり。あなたの街でも、すぐに真似できるモデルがあるかもしれない。全国23拠点を持つトーマツベンチャーサポートからの協力を得て編集部で厳選した、今、最もおもしろい地方のアイデア集。

コストゼロ、「道」は究極の観光資源

たまには、いつもとは違うコースを走りたい。そう思うのは、ランナーとしての当然の欲求だ。

「ラントリップ」は、好みに合わせてコースを検索できるソーシャルサービス。代表の大森英一郎(30)は、「地元の人だけが知る、素敵な道をシェアし合うようなカルチャーが生まれれば」と話す。

大森は元箱根駅伝ランナー。社会人になり、ランニングレッスンなどを行うNPOを立ち上げ、イベントを開催した時のこと。横須賀市の海沿いの道を走っていると、埼玉県出身の参加者が「こんなところを走れるなんて、羨ましい」と口にした。観光資源など、何もない場所なのに。道は人を呼べるコンテンツ。そう、確信した。

1万人クラスのマラソン大会を開こうとするならば、膨大なコストがかかる。でも、道を紹介するだけならコストゼロ。ラントリップで紹介したコースを仮に1日10人が走れば、1年で3,600人が訪れることになる。そうした道が地域に3つあれば、年間1万人が訪れる。持続可能な集客につながる。

地元のランナーはガイドを有料で引き受け、その際の手数料がラントリップの収益となる。そんなビジネスモデルを目指している。

ラントリップ@神奈川県横須賀市
2015年7月にサービス開始。現在約280のコースが、テキストや画像、道のタイプなどとともに登録されている。代表の大森は観光系事業会社などでキャリアを積み、ラントリップを立ち上げた。
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カリフォルニア州南部のハンティントンビーチのコース

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岐阜白川郷のコース

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フォーブス ジャパン編集部 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.22 2016年5月号(2016/03/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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