コストゼロ、「道」は究極の観光資源
たまには、いつもとは違うコースを走りたい。そう思うのは、ランナーとしての当然の欲求だ。
「ラントリップ」は、好みに合わせてコースを検索できるソーシャルサービス。代表の大森英一郎(30)は、「地元の人だけが知る、素敵な道をシェアし合うようなカルチャーが生まれれば」と話す。
大森は元箱根駅伝ランナー。社会人になり、ランニングレッスンなどを行うNPOを立ち上げ、イベントを開催した時のこと。横須賀市の海沿いの道を走っていると、埼玉県出身の参加者が「こんなところを走れるなんて、羨ましい」と口にした。観光資源など、何もない場所なのに。道は人を呼べるコンテンツ。そう、確信した。
1万人クラスのマラソン大会を開こうとするならば、膨大なコストがかかる。でも、道を紹介するだけならコストゼロ。ラントリップで紹介したコースを仮に1日10人が走れば、1年で3,600人が訪れることになる。そうした道が地域に3つあれば、年間1万人が訪れる。持続可能な集客につながる。
地元のランナーはガイドを有料で引き受け、その際の手数料がラントリップの収益となる。そんなビジネスモデルを目指している。
ラントリップ@神奈川県横須賀市
2015年7月にサービス開始。現在約280のコースが、テキストや画像、道のタイプなどとともに登録されている。代表の大森は観光系事業会社などでキャリアを積み、ラントリップを立ち上げた。
カリフォルニア州南部のハンティントンビーチのコース
岐阜白川郷のコース