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「これからは“組織のレントゲン装置”を持つ企業だけが生き残るだろう」ラム・チャラン博士(photograph by Ben Baker)

人事の果たす役割の重要性については誰もが理解しているはずだ。しかし、現実には多くの企業がその力を有効に活かせずにいる。他社よりも優れた人材を集め、競争的優位を保つにはどうすべきか?

GEやデュポン、バンク・オブ・アメリカといった世界的な企業の経営アドバイザーを務めてきたラム・チャラン博士(77)。リーダーシップと経営戦略に関する卓越した知見を持ち、近年「人事」の役割に焦点を当てている同氏に、これからの人事のあるべき姿について聞いた。

ー近年、人事を戦略的に考える「戦略人事」の重要性が世界的に高まっています。博士が特に「人事」が大切だと考える理由とは?

ラム・チャラン(以下、チャラン):長年、私は経営戦略についての研究とコンサルティング業務をしてきました。そして戦略とは、“数字”や“論文”から生まれるものではなく、“実際に働いている人々の考えから生まれるもの”だと気付いたのです。戦略について考えるときに重要なのは、それを考案した人やその背景、モチベーション、そしてターゲットなどについて考えることです。

いま、デジタル化によりビジネスが加速しています。そうしたなか、企業にとっての最大のリスクは「人材」、とりわけ「自社にとって大切な人材」を失うことです。そのうえ、多様なスキルを持つ人材の需要が高まっています。

その結果、人事部は従来のバックオフィス業務にとどまらず、こうした課題に対して積極的に取り組む必要性が出てきたのです。とはいえ、適切な人材の採用や解雇、モチベーションの向上、能力開発を図るためには、人事部としてもビジネス感覚を磨き、最も自社に適したシステムを築く必要があります。だからこそ、CEO(最高経営責任者)のレベルで人事部を管理する必要があるのです。

ーしかし、多くのCEOは人事の重要性を理解しながらも現実にはその役割を十分に活かせずにいます。その理由はなぜでしょうか。

チャラン:まず往々にして、CEO自身、そして人事部が自社の経営の状態や採るべき戦略をきちんと理解していない点が挙げられます。「我が社が採るべき戦略とは?」「どうすれば、収益率を高められるか?」といった点です。加えて、多くの企業ではまだ、人事の責任者にCFO(最高財務責任者)のような強い権限が与えられていません。そうしたこともあり、十分に力を発揮できる環境にないのです。

もっとも、人事部がCEOの力になるためには、次のような資質が必要です。一つ目は「ビジネス感覚」、二つ目は「社員への評価力」。いま、これらの資質を併せ持つ人事関係者が増えています。そうした人の特徴として、過去に人事部に所属した経験がない点が挙げられます。彼らは、他の部署でビジネス感覚と人に対する判断力を磨いてきたのです。

今後、こうした人は増えるでしょう。人事部にいる人も他部署に異動してスキルを磨き、また人事部に戻ってくるという選択肢も考えられます。実際、GEや保険関連サービス大手の「マーシュ」、インドの複合企業「ビルラ・グループ」などの企業がそうして成功しています。

一方で、今は人材のパフォーマンスを測るうえで、「業績以外の指標」が必要になってきます。例えば、その社員が創出できる価値などの予測できる指標も加味してよいのではないでしょうか。こうしたデータを測るためにも、人事部は技術系の人材を積極的に登用する必要があるでしょう。

フォーブス ジャパン編集部 = インタビュー ベン・ベーカー = 写真

 

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