多くのビジネスがAIツールを利用するようになる中、企業のセキュリティチームは新たなリスクに直面している。それは、従業員が人工知能(AI)ツールに機密情報を入力することによるデータの漏洩リスクの増加だ。
米国のカリフォルニア州サンノゼに本拠を置くCyberhaven(サイバーヘイブン)が開発したAIツールは、膨大な量のデータを使用することで、このような異常を検知することができる。同社の「Linea AI」と「Large Lineage Model(LLiM)」は、創業以来9年間に渡って蓄積したデータを用いて、OpenAIのChatGPTや中国のDeepSeekなどのAIモデルに機密データが共有されるリスクを検出する。
また、従業員が業務外のクラウドストレージに機密情報をアップロードしたり、SNSに投稿したりした場合にIT部門に警告を発することもできる。
「我々は、過去の履歴やユーザーの役職、類似したフローなどに基づいて、ユーザーがそのデータに対して次に起こす可能性のある行動をすべて予測する」と、CyberhavenのCEOを務めるハワード・ティンは述べている。
投資家たちは、同社のデータセキュリティ戦略を高く評価している。Cyberhavenは昨年、4億ドル(約582億円)の評価額で8800万ドル(約128億円)を調達したが、新たにプライベート・エクイティ(PE)企業のステップストーン・グループが主導したラウンドで1億ドル(約146億円)を調達したことを明らかにした。このラウンドには、コースラ・ベンチャーズやレッドポイント・ベンチャーズらも参加した。
Cyberhavenの評価額は10億ドル(約1500億円)を超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たした。マッキンゼーの予測によると、AIセキュリティの市場規模は、現在の1億2200万ドル(約178億円)から2027年には2億5500万ドル(約372億円)に拡大する見込みだ。急成長する市場でシェア拡大を目指すCyberhavenは、新たに調達した資金でM&Aを推進し、規模の拡大を図ろうとしている。
「これまでに多くの大手サイバーベンダーから買収の打診を受けたが我々は独立した企業でありたいと考えている。市場は巨大であり、我々は非常に差別化された技術を持っている」とティンは話す。