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2025.04.09 12:00

英国によるアップル・iCloudへの「バックドア要求」、裁判所が公聴会の非公開化の求めを却下

Shutterstock.com

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英国の内務省は、アップルが異議申し立てを行った英国政府の「バックドア作成命令」に関する公聴会を非公開で行うよう求めていたが、裁判所はこの要求を拒否する判決を下した。

英国の調査権限法裁判所は4月7日、内務省が主張した「この件を秘密裏に審理すべき」という意見を退け、「訴訟が存在すること」や「関係当事者の身元」などの「最低限の詳細」は公開できると述べた。

英国政府のセキュリティに関する政策を所管する内務省は今年初め、アップルに対して、高度に暗号化されたiCloudストレージにバックドアアクセスを設けるように要求した。この要求を拒否したアップルは、「政府の要求は違法である」として、英国の法執行機関への苦情を審査する独立司法機関の捜査権限裁判所に異議申し立てを行っていた。

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英国政府、アップルにiCloudに「バックドア」を設置するよう要求

この訴訟は、同裁判所において審理されることになったが、政府は国家安全保障上の懸念を理由に「公聴会を秘密にすべきだ」と主張し、「公聴会が開催されていることさえも公表すべきではない」としていた。

しかし、裁判所は政府の要求を拒否する判決を下した。

「公聴会を完全に秘密にし、開催されていることさえ公表しないというのは、実に異常な措置となるだろう。このケースの最低限の詳細を公表することが、公共の利益や国家安全保障に悪影響をもたらすとは考えられない」と裁判官は判決文に記している。

英国のプライバシー擁護団体ビッグ・ブラザー・ウォッチの幹部のレベッカ・ヴィンセントは、「この判決は非常に歓迎すべき一歩であり、アップルのこの問題の審理に関わる秘密主義のムードを打破するものだ。内務省のアップルに対する命令は、数百万人の英国人ユーザーのプライバシーを脅かす問題であり、閉ざされた場所で議論すべきものではない」と語った。

内務省のデータへのアクセス要求は、英国人のユーザーだけでなく、グローバルなユーザーを対象としたものだった。そのためこの問題は、大西洋を越えた緊張を引き起こし、米国のトゥルシ・ギャバード国家情報局長は、アップルに対する英国政府の要求が、米英の2国間協定のCLOUD法に違反していないかどうかを調査中だと述べている。

英国のデジタルの権利のキャンペーン団体Open Rights Groupの幹部であるジム・キロックも、「これは英国とアップルの間にとどまる問題ではない。この裁判所の判決は、世界中の数百万の人々のプライバシーとセキュリティに影響を与えるだろう」と語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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