以下、国際交渉のコンサルティングを行うYouWorld代表取締役 松樹悠太朗氏による寄稿である。
松樹氏は、クライアント諸企業からの依頼でアメリカ市場におけるスタートアップ企業への投資動向を調査、これに基づく助言を行いながら、アメリカやイギリスの子ども向け金融教育について本格的な調査を続けてきた。2021年からは自社でも子ども向け金融教育サービス「GAZKID$(ガズキッズ)」を立ち上げ、小遣いを稼ぐためのタスク設定や週・月ごとの集計を自動計算、メールで受信できる機能をWebサービスで提供している。
以下は松樹氏による子ども向け金融教育4カテゴリーの解説、ならびに自らの子息への金融教育実践についての寄稿である。
子どもの金融教育、4つのカテゴリー
ここでは、筆者が2021年4月から足掛け4年間、家庭でお金の教育に取り組んだ経験に基づき、お小遣いを「稼ぐ」「使う」「貯める」「運用する」の4つの学習カテゴリーのポイントを解説し、さらには長男の資産運用の成果を含めた取り組み成果を紹介する。
1.稼ぐ
お小遣いを「稼ぐ」ことは、「使う」「貯める」「運用する」取り組みにおいて、子供たちの真剣さ、さらには体験の深みを増してくれる。さらに副次的なメリットとして、家庭内で様々なお手伝いを体験することは、子供の興味や向いている作業などについて、親子で共通の認識を持つ良い機会ともなる。
定額制のお小遣いを導入している家庭であれば、その一部を「稼ぐ」体験をさせ、それを通じて「得」させてあげることは、金融リテラシー向上をより促す。
2.使う
続いてお小遣いを「使う」ことにおける学習ポイントである。
-お金は使ったら無くなるという事を体験的に知る
-「必要なもの」「欲しいもの」の区別を理解する
-お金がより無くならない使い方があることを学ぶ
まずは、「お金は使ったらなくなる」ことを学ばせる。この原則があるからこそ、次の学習ポイントである「必要なもの」と「欲しいもの」を区別する能力を育む段階に進める。

『13歳からの億万長者入門──1万円を1億円にする「お金の教科書」』(ジェームス・マッケナ、ジェニーン・グリスタ、マット・フォンテイン著、ダイヤモンド社刊行)によると、「必要なもの」とはそれらがないと生きていけないもの。それ以外は全て「欲しいもの」に分類される。
この「必要なもの」と「欲しいもの」の考え方には人それぞれの主観があるため、家庭で取り組む際、例えば子どもが「必要なもの」と思って買ったもののあまり使わなかった場合、「これは本当に必要だったかな?」と親子で話し合う機会を作ることは、「必要なもの」と「欲しいもの」の境界線を経験的に理解することを促す取り組みとなる。
さらに、お金は使ったらなくなってしまうからこそ、お金を使う際、より「無くならない方法」があることを学ぶことも学習ポイントの一つとなる。
具体的には、同じ商品でもクーポンを使用したり、セールのタイミングを待つことでより安く買える方法があることを知ることは大切だ。また、程度の良い中古品などを購入するという方法があることを知ることもそうだ。加えて、生活に必要な電化製品、自転車などをより長く利用するための修理技術を習得すること、さらには(QRコード決済やクレジットカード決済などの)決済サービスによるポイント還元率を学ぶことも、同じように学習のポイントになる。