筆者が自らの家庭で実際に取り組んだお金の教育について
以下は長男の場合。彼が得た金融リテラシーの向上を、上の4カテゴリーに照らして紹介しよう。
1.稼ぐ——自身が楽しめる手段で
まずはお小遣いを「稼ぐ」取り組み成果について。長男は2021年4月から様々なお手伝いに挑戦してきたが、掃除や洗濯よりも、自分で使った弁当箱や水筒を洗う作業は4年間継続できていた。
そのため、親子で「長男にとって、調理に関する作業はハードルが低い」という共通認識があった。
2025年1月、長男は初めてのアルバイトとして近所のステーキ屋で調理補佐を始めた。主な仕事は皿洗いや簡単な調理になるが、大変だと言いつつも業務中の作業を私たち親に教えてくれる様子や、賄いで出るステーキやハンバーグを楽しみにしている様子から、仕事に楽しんで取り組めていることがうかがえる。職場の雰囲気の良さもあるが、家庭でのお小遣い稼ぎの経験が土台となり、本人が楽しめる職種選びに繋がったことは成果の一つといえるだろう。
2.使う——ZOZOTOWNのポイントキャンペーン活用
次は、お小遣いを「使う」ことで得られた成果について。高校生になり、お小遣いを使う機会が増えたことで、自然とお金の使い方を考えるようになった。
ある日、長男はショルダーバッグを探していて、オンラインショップごとに価格が違うことに気づいた。最安値を調べるうちに、ZOZOTOWNの新規利用者向けポイントキャンペーンを発見。親に確認し、2094円のバッグと送料をポイントでまかなうことに成功した。この経験を活かし、その年はデニムや別のバッグもポイントで手に入れた。
こうした成功体験を積むうちに、ZOZOTOWNのポイントやクーポンを上手に活用するようになり、さらに古着屋巡りや父親の服・靴を借りるなど、新品を買う以外の方法でもファッションを楽しむようになった。
3.貯める——キャンプやハイブランド購入に向けて
次は、お金を「貯める」ことについての成果だ。最近の話になるが、アルバイトを始めて収入を得るようになったことで、中学生の頃から毎年参加しているアメリカの団体主催のキャンプ(夏・冬)に向けた資金を貯め始めた。また、初めてのハイブランド購入に向けても貯金を始めた。
4.運用する——自らアルバイト代を証券口座に
長男は4年前から積立投資に挑戦している。始めたばかりの頃は株価が上昇していたため、すぐに含み益が出たが、その後、株安に転じ、約1年間ずっとマイナスが続いた。その間、「本当に意味があるの?」と疑問を抱くこともあった。
しかし、株価が再び上昇し始めると、2年目以降は順調に資産価値が伸びていった。2025年3月27日現在、彼の金融資産は45万5730円、評価損益は+13万8936円、評価損益率は+43.85%。最高値を記録した際には、資産額は52万4516円、評価損益は+21万7731円、評価損益率は+70.97%だった。
こうした資産の増減は学習の一環にすぎないが、この経験を通じて、親から言われることなく、自らアルバイト代を証券口座に移し、積立投資を続けるようになった。このような自立した行動を取れるようになったことこそ、お金の教育の成果と言えるだろう。