キャリア・教育

2025.04.08 14:15

元英検面接官が見た TOEIC900点でも話せない日本人。攻略は「モード逆転」で

酒井一郎氏。1992〜2011年英検面接委員を務め、執筆した英語教育関連著書は19冊、累計42万部刷

酒井一郎氏。1992〜2011年英検面接委員を務め、執筆した英語教育関連著書は19冊、累計42万部刷

英語学習に時間とお金を費やしても、実際の英会話で成果を感じられない——。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくない。

文部科学省のデータによれば、日本の英語教育は年々強化されており、TOEICスコアの平均点も徐々に上昇している。しかし、現場の声を拾うと、「スコアは高いけれど話せない」「会議で発言できない」といった悩みは依然として根強い。

このジレンマに対して、「試験英語から始めるのではなく、まず“シンプルな英語を話す力”を育てるべき」と提唱するのが、元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上の著者であり、「Simple English/シンプルイングリッシュ®」を日本で初めて提唱した酒井一郎氏だ。

酒井氏が提唱するのは、「Easyモード英語攻略法」。特徴は明快だ。難しい単語や文法にとらわれず、シンプルな英語で「話す力」を先に育てる。そのうえで英検やTOEICといった試験に取り組むことで、試験も会話も同時に効率よく習得できるという。

以下は、酒井氏の寄稿である。


「試験英語で高得点」のワナ

まずは、英語学習者A氏の例を紹介します。

A氏は、まずは英検準一級を目指しました。

単語を覚え、文法を学び、試験対策に励んだ結果、見事に合格。

次はTOEIC。

リスニング対策を徹底し、長文読解のスピードを上げ、スコアは900点超え。「すごい!」「英語できるね!」と周りからも評価されるようになった。でも——。実際に外国人と話そうとすると、言葉が出てきません。

頭の中では文法を考えてばかりで、会話にならない。

焦れば焦るほど、頭が真っ白になる。「こんなはずじゃなかった……」。

試験では高得点が取れるのに、英語が話せない。

(画像:著者提供)
(画像:著者提供)

そのときようやく、本当に必要だった英語の学び方に気づいたのです。

「シンプルな英語」を学ぶことが先だった、と。

「完璧な英語を話そうとするのをやめる」ことから

英語の試験に合格すれば、英語が話せるようになると思っていました。

でも、実際はスコアが上がるほど、話せない自分に苦しむことになったのです。

「正しい文法を使わなければ」

「発音を間違えたら恥ずかしい」

「適切な単語が思い浮かばない」

そんなプレッシャーが頭を埋め尽くし、言葉が出てこない。

試験英語の勉強ばかりしていたせいで、間違えた英語を話すことを恐れてしまう癖がついていました。

しかし、A氏はふと気づいたのです。

シンプルな英語なら、試験のルールに縛られず自由に話せるんじゃないか? 完璧ではなくても、短いフレーズで伝えられるようになれば、自然と英語に対する抵抗がなくなるのではないか?

そこでA氏は試しに、「完璧な英語を話そうとするのをやめる」ことから始めたのです。

- 文法を気にせず、知っている単語だけで話してみる。

- 短くてシンプルな文で伝えることを意識する。

-「正しく言う」よりも「伝わること」を優先する。

すると——。

驚くほど、英語がスムーズに口から出るようになったのです。頭が真っ白になることも減り、少しずつ会話が続くようになりました。

(画像:著者提供)
(画像:著者提供)
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文=酒井一郎 編集=石井節子

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