英語は数ある言語の中でも「習得しやすい」と言われているにもかかわらず、なぜ日本人は身につける前に挫折してしまうのだろうか。
世界中で英語を話す人の割合は、ネイティブ2割:その他8割(英語を母語としない人)といわれ、その他8割は「シンプルな英語」を使いコミュニケーションしているという。
以下はこの「シンプルな英語」について、元英検面接委員であり、英語学習関連書籍や教科書19冊以上の著者でもある酒井一郎氏に寄稿していただいた。
「シンプルな英語」とは何か、そして、酒井氏が20年以上かけて完成させた「英語を “かけ算” の九九のごとく身につける方法」とは?
英語が話せる人は「850語を使えている」
皆さんの中にも、実際に英会話教室に通ったり英語教材を使って勉強をしても会話するレベルになんてならなかった、という方も多いと思います。なぜ、勉強しても英語が話せないのだろうか?
その理由を一言で言うと、“受験向け” の「暗記する勉強方法」しか知らないからです。
反対に、英語が話せる人は何が違うかと言うと「コミュニケーションに必要な850語を使えている」ということです。

言語学の世界では、イギリス学者のオグデン(C.K.Ogden)が、たった850語で日常の会話の大半はできてしまうという発表を「The ABC of Basic English」(1932年)という本でしています。
英語圏で生活しても、日常的な事は850語の一般的な英語で表現できます(人間の根源的動作3千~4千に及ぶ日常的な事が850語で表現可能だからです)。
その証拠に、米国ウィキメディア財団では、通常のWikipediaと、シンプル英語版 Wikipedia を区別しています。
=通常英語版 Wikipedia(ネイティブ向け)
=シンプル英語版 Simple English Wikipedia(英語を母語としない人向け)
2つのWikipedia は記事の内容は一緒でも、シンプル版は「850語」をベースに複雑な説明をすべてシンプルにしています。

日本では中学3年間で「約1800語を学ぶ」と言われているため、中学までで日常的に必要な英語の知識は身に付いているのです。